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私は何となく動くことが出来なくてその場に立ち止まったまま、パタパタとこっちに駆け寄ってくる彼を見ていた。
細くて長い腕が私の肩に乗せられる。
「わっ」
と思ったら。
がしっと、力強く、反して触れる手は優しく、肩が抱き寄せられた。
「この子、俺の妹！ね、Aちゃん」
私が驚いている間にそう言った彼は私の顔を見てまた眩しい笑顔を浮かべた。
あんまりにも屈託なく彼が笑うから、私はどう接して良いのかがわからなくなってしまう。
だって急に今日から兄弟ですなんて言われたって、どうしたらいいのかわからない。
どうしたらいいのかわからない私を彼が気にして距離感を図ろうとしてくれてるのも分かるから、余計にどうすればいいかわからない。
気を遣わせているのが嫌で、仲良くしようとしてくれる彼の好意を上手く受け止められない自分がもっと嫌だった。
今の彼は家にいる時とは少し違う。
いつもよりちょっとだけ強引に私との距離を詰める。
この笑顔が多分彼の素なんだと、私は初めて知った。
「なんだ妹か」
「いや、雅紀に彼女とかありえないっしょ」
「どういう意味だよ！」
一緒にバスケをしていたらしい。
バスケットボールをボムボムと地面にはじきながら少年たちが近寄ってくる。
彼らと言葉を交わす彼はどこにでもいる男の子の顔をしていた。
「あ、そうだAちゃん、俺たち今one on oneやっててさ、見てってよ」
肩からするりと手が離れていく。
細い体つきだから気にしたこともなかったけど、肩を抱いた腕は男の子のそれだった。
ずっとたくましくて、大きくて、なぜだかドキドキと胸の奥が忙しなく音を立てた。
「あの、でも……」
「俺Aちゃんのためにダンクシュート決めるからさ！」
私の顔を見てまた彼はキラキラした笑顔を浮かべる。
親指を立てた拳と屈託のない笑顔が、青い空に映えて眩しかった。
「……じゃあ、少しだけ」
気が付いた時には頷いていた。
私が頷くとは思っていなかったのか、彼の顔に一瞬驚きの表情が浮かんだけれど、すぐにそこにはじわじわと笑みが広がっていった。
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iCHiKA(プロフ) - tubinさん» コメントありがとうございます！そして、嬉しいお言葉をありがとうございます！お楽しみいただけたとのこととても光栄です。今後もお楽しみいただけるよう頑張らせていただきますね！ (2021年8月24日 20時) (
レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
tubin - すごくおもしろかったです！！ 無中になって読んでました!! 続きがすごく楽しみです!! 応援してます!! これからもがんばってください！！ (2021年8月22日 20時) (レス) id: 73a03e30c5 (このIDを非表示/違反報告)
iCHiKA(プロフ) - にゃんちきさん» にゃんちき様、いつもありがとうございます！糖度高めを目指して頑張ったお話でしたが、お役に立てたようで良かったです。こちらこそご賞味ありがとうございました。 (2021年8月21日 20時) (レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
にゃんちき(プロフ) - 最近疲れ気味だった私には翔さんの甘さが最高のご褒美になりました。ご馳走様でした( ´ω` )/ (2021年8月19日 19時) (レス) id: 64ed16a329 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2021年8月15日 14時
