Tシャツ ページ35
｢自分、口に出やすいなぁ〜｣
また、複雑な顔をする。
声に出てたことよりも、その表情が、私と同じことを思ってる気がして。
『出るもんはしゃーないのよ。体の水分と一緒。表情もね。』
そういうとパッとこっちを向く彼。
さっきまで彼がかけていた眼鏡はテーブルの上。
隔てる物なく交わる視線は、お互いの感情を汲み取るには十分だった。
｢恋愛ってなんやろなぁ、分からんなぁ、って顔してたやろ〜？｣
『あと、言葉に縛られたくないって顔も』
｢一個だけ言ってもええ？｣
頷くわけでもなく、ただ待つことしか私にはできなかった。
｢……Aちゃん、好きや｣
『私も一個だけええ？』
安田さん、好き。って言いたかったけど、きっとなんか違うんやろな〜って。
そう思ったら“安田さん“だけじゃなく、“好き“って言葉も出てこんくなって。
『同じこと思てるよ』
長年一緒にいたかのように思ってることが分かるのも、
分かってても言葉にせんと。って思ってることも。
｢自分のこと好き！って？思てんの？」笑
『安田さんのことやし！』
顔と視線は、床の楽譜から強引に右側に向けられる。
さっき缶ビールにあった両手が、今度は私の頬を包むかのようにあって、初めての感触が肌に伝わる。
｢章大」
決して声は高くはなかったが、諭すような優しさが零れる口元に吸い込まれていく瞳。
『え、でも……』
｢影響力」と向かい合わせの生活の中で生まれた、言葉に縛られたくないという強い意思。
歳の差、芸能人、一般人、女性、男性。
そんなもが壁になってはいけない。
そう訴えかけてくる彼の鼓動。
『章大くん、好きです』
でも、そんな考えをできる不思議な彼が
『大好きです。』
お酒じゃなくて、章大くんに酔ってたのか。
なんちゃって
魔法が解ける時間、二人は柔らかなキスをした。
＊
｢今度は呼び捨てやからね？」
『じゃあ、章大くんも、呼び捨てせな、な？』
からかいのつもりで言ったら
｢ん、おやすみ、A」
『っ……おや、すみ』
そう言って片付けられたカーペットの上で一緒に横になったけれど、
しばらく私の心臓はうるさかった。
ブランケット変わりにかけられた、お揃いのオレンジタイダイTシャツ。
あの、夕焼けもチョットは好きになれそう。
ラッキーソング
涙の答え
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ふわぽむ(プロフ) - まりあさん» はじめまして！ありがとうございます。続編のほう、前向きに検討して行きますね！！まりあさんにお楽しみいただけますよう前進いたします。また是非覗きに来てくださいね (2019年8月17日 1時) (
レス) id: b17a885bb5 (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - 初めまして！いつも更新楽しみに読ませて頂いてます。2人の続編を是非読みたいです！大変だとは思いますが楽しみに待っています。 (2019年8月16日 23時) (レス) id: 9550e0f14e (このIDを非表示/違反報告)
ふわぽむ(プロフ) - ま り ゅ 。さん» 力になれて幸せでございます(*^-^*) (2019年8月16日 23時) (レス) id: b17a885bb5 (このIDを非表示/違反報告)
ま り ゅ 。(プロフ) - ふわぽむさん» 別垢で夢を書いているのですが 、思い通りに書けないので … そういうときにもこの作品を読ませていただいて気分転換させてもらってます ！！ 本当に感謝しかないです … (2019年8月16日 23時) (レス) id: 175c974560 (このIDを非表示/違反報告)
ふわぽむ(プロフ) - ま り ゅ 。さん» ありがとうございます。すごくすごく嬉しいです！！お手本だなんて、もったいないお言葉……まりゅさんに楽しんで頂くためにも、もっと頑張ります！ (2019年8月16日 23時) (レス) id: b17a885bb5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふわぽむ | 作成日時：2019年7月14日 17時
