着信履歴 (青)

幸せのおすそ分け ページ20

＊


｢へぇ〜、んで付き合い始めたさかいによろしく〜とかなったら笑うで｣


『でも、正直、気になってはいんねん。』



｢それで、ご本人様やったらとか考えへんの？｣



『考えたけど、だからなにって感じ。
　
　推しは推しだし、知り合いは知り合いでしょ。』



｢あんたのそういうとこ好きやわ。｣









＊ブーッ ブーッ＊


“ありがとう“と言いかけた時、スマホがバイブする。


サイレントのままだったスマホを取り出し画面をみる。





時間は23時過ぎ。



それと、もう覚えてしまった、11桁の数字。





｢こないな時間に誰や？迷惑電話け？｣




『んー、噂をすればって感じやね。』




｢出たげな｣

ニヤニヤしながらも驚くほどの近さにいる佳奈子は、

会話の内容を聞いてていいなら。といいたげに顎でスマホを指す。




『うん、あざま』



別に出ない理由もないので耳にスマホを持っていく。



『はーい』


酔ってるからか緩い返事が口から零れる。


＊｢こんばんわぁ、いま大丈夫やった？｣


返って来る声も、同じく緩い。


『大阪の夜の街やからガヤガヤしとるけど、全然！｣




＊｢そか、よかったわ。今日アレやったんやろ〜？｣



『そうや〜、今友達と帰ってる途中でー』



この前、憧れの人の公演。とだけ伝えた時に覚えててくれたんだろう。





＊｢ほぅ〜、どうやった？｣



『すごく楽しかってん。感動もしたけど、
　
　 笑顔にさせられる幸せなステージやったで』



細かいことは言えないから、素直に感想だけを伝える。




＊｢声からも、そうやったんやろな〜って分かったわ｣


アハハと笑う彼。



自分がライブに行ったかのように楽しんで聞いてくれるおかげで、


自然と笑顔が零れる。



佳奈子は“コンビニ行ってくるわ“と言って


　目の前のコンビニのトイレに入って言った。




お手洗いかよ。



＊｢ああっ！お友達待たせたりしてへん？｣


タイミング今か！笑 と思ったけど、



安田さんは時々こういう感じになって、脱線に脱線を重ねる。


私も脱線大好きな捻くれた人間だから毎度長電話になってしまう。




『ただいまコンビニで買い物中やから大丈夫やと思いたい』


＊｢思うだけ｣ 笑




＊｢あ、で、グッズとか買ったん？｣



ほらね、話題よ、おかえり

宝物→←余韻とハイテンション

ラッキーソング

涙の答え

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す