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ド「………………潮時ですね」


そう呟くと、軽やかな音を立てて椅子を立ち上がる。


貴「ははっ、拍子抜けしちゃったかな?」


私も席を立ち、隣に並んで歩き始める。


ド「ええ、次手で焼却できそうです」


表情を変えずにそう答える彼に、思わず口元が緩む。


貴「そっか、それは何よりだ。ところでフェージャ、あれ、何かな?」


そう言って指をさせば、素直にその方向を見て、そして目を見開き、足を止めた。


太「やァ、善い喫茶処(カッフェ)だね」


椅子越しに太宰さんは笑いかけた。


フェージャは何も返さず、太宰さんを見つめる。


太「流石に驚いた顔だ。『何故此処が判ったのか』そう訊きたいのだろう?」


あ、私はというとレアな驚き顔を記録に収めるべく写真を撮っている。


太宰さんは愉快そうに続ける。



太「実際……極限下の一手だったよ。だが、かの『魔人』を欺くには並の手では足りないと判っていた。」


太宰さんの隣に座る人物は新聞紙によって顔が隠されている。が、なんとなく予想はつく。


太「これが……私の一手だ」


太宰さんがそう言い放つと、新聞紙が下げられ顔があらわになる。


フィ「久しいな、《鼠》」


予想通り、まあ、『神の目』(アイズオブゴット)、それ以外にこの場所を特定できる方法はないであろう。


フェージャもそれを理解したらしく、やっといつもの微笑みを取り戻す。


ド「……あぁ、素晴らしい。『神の目』(アイズオブゴット)ですね……?」


太「そうだ、街中の監視映像を統合する無謬の眼。その力で此処を見付け出した。君が潜窟(アジト)に気を取られている隙にね。……力を借りる条件は「君達が掠め取った組合(ギルド)の隠し資産を取り戻す事」


フィ「手離れした金に興味はないが、《鼠》に盗まれたままでは小癪でな」


その言葉には、軽やかさと荘厳さの反する二つがある。


流石は組織の長の風格、というやつであろうか。


にやけ顔でその様子を眺めていれば、背後から特殊部隊と、丸眼鏡をかけたこれはまた懐かしい顔が見える。


安「後は我々が引き受けましょう、太宰君」


フェージャは膝をつき手を頭につける。所謂「降参」のポーズだ。


貴「ああ、もう参ったねフェージャ!!そしてありがとう!!」


目まぐるしい展開が面白過ぎて、連写の嵐である。


KY?そんなことは知ったことじゃないね。





______________________________
キリが悪いですが、文字数で93話へ続きます。

93→←91



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夕焼け(プロフ) - 文才神がかってますね…最高です!更新頑張ってください! (2018年7月11日 22時) (レス) id: 41489a1304 (このIDを非表示/違反報告)
伊尾 - Liaさん» 更新停止本当に申し訳ありませんでした!!来週から毎日更新させていただきます。 (2018年3月1日 7時) (レス) id: 0dbda8d9b9 (このIDを非表示/違反報告)
Lia - とっても面白い!更新停止中で・・・また戻ってきてくださるのを待っています。 (2018年1月8日 11時) (レス) id: ea4e880386 (このIDを非表示/違反報告)
伊尾(プロフ) - ★紅雪華★紅時雨★さん» ありがとうございます!!頑張ります (2017年4月15日 23時) (レス) id: 6e4393709e (このIDを非表示/違反報告)
★紅雪華★紅時雨★ - とっても面白かったです!更新頑張ってください!応援しています! (2017年4月15日 17時) (レス) id: 971d5bf1f0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:伊尾透霧 x他1人 | 作成日時:2017年4月5日 0時

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