停車駅を過ぎれば (ページ17)

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“ 1名様入られまーす！！ ”

コイツぼっちだよ～！(笑)、って大声で

叫ばないでくれよ…と思いながら

案内されたカウンターの席に座る

いつもみたいに誰かの顔色を伺って

メニューを見ないでいい自由さに

優越感と寂しさが迫り来る

“ 生ビールでぇーす！ ”

“ キムチでぇーす！ ”

“ カルビでぇーす！ ”

自分の食べたいものだけで

届くこの時間を楽しんでいたとき

また携帯が私を呼ぶ

「なんだよ、」

少し酔いが回って思ったことが、口に出てしまう

携帯を見ると “ 竜生 ”

「うるさいな～」

そう言いながら切るボタンを押した

スマホを鞄の底にしまって

ビールでこのモヤモヤを流し込んだとき

？？「 1人ですか？」

と声をかけられた

その人は私の隣の席に素早く座り、

？？「彼氏と喧嘩したんですよね？」

と口角を上げながら問いかける

「えっ」

？？「図星だ (笑) 」

優しく笑う彼は店員にウーロン茶を頼む

怖くなった私はビールを一口飲む

？？「昼間から飲むのすごいっすね (笑) 」

「あ、まあ、」

？？「あっ、俺のこと疑ってます？」

そう言った彼は財布を出して

免許証を見せてきた

？？「普通の20歳です (笑) 」

そしてまた優しく笑う

免許証を見ると “ 安嶋秀生 ” と

書いてあった

「安嶋さん？」

安嶋「そうっすね、(笑) 」

「へぇ、安嶋さんか」

安嶋「あれ？俺に食いついちゃってます？(笑) 」

「あっ、いや、」

ふははって笑う彼は

店員から受け取ったウーロン茶を

ハイボールのようにカッコよく飲んでいる

安嶋「てか、ここで1人で食って飲んでていいんすか？」

「はい？」

安嶋「喧嘩した彼氏は？」

「ああ、」

彼氏と言葉が一気に

私の体に乗りかかって潰されそうだ

安嶋「おもむろに彼氏の話すると、顔色悪くなりますね (笑) 」

何でも見抜かれているようだ

安嶋「俺だったら話聞きますよ？」

「大丈夫です」

安嶋「本当は大丈夫じゃないくせに」

「は？」

安嶋「何度も“ 大丈夫 ” って言うのは、相手に自分を知られたくないからでしょ？それに自分にも“ 大丈夫 ”って言い聞かせてる」

図星のことを言われて

反論できず黙っていると

安嶋「ほら、飲んで話して？」

と首をコテンと傾げる彼に釣られ

指先ぐらい残っていたビールを

グビっと流し込んだ

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