停車駅を過ぎれば (ページ15)

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講義室に入ると私を心配そうに見る里帆

里帆「ねえ？大丈夫？」

「なにが？」

里帆「深田くんだよ、檜山くんから聞いた」

ああ、里帆知ってるのか

大きなため息が出る

里帆「 A、浮気なんかしてないよね？？」

「するわけないじゃん」

里帆「だよね、でも、檜山くんが… 」

いつもみたいな元気はなく

おもちゃを買ってもらえなくて

今にも泣きそうな子どもみたいな里帆

「 …私より、檜山くん優先なの？」

里帆「え？」

やらかした、

例え、親友だとしても

これは言っちゃいけない

思いを寄せてる人が

自分の親友の浮気を疑ってるなんて

里帆が、今いちばん苦しんでるのに、

「ごめん、言いすぎた」

バッと椅子から立ち上がった私は

講義室を飛び出した

廊下に出ると

内村「 A？」

うっちーに声をかけられた

内村「これから講義じゃないの？」

「あ、うん、まあそうなんだけど」

内村「え？体調悪い？」

「別に」

うっちーも心配そうに私を見る

内村「 “ 深田 ” となんかあった？」

一番聞きたくなかった名前が耳に入って

思わず、うっちーを睨みつけてしまった

内村「 …A？」

「 …っ、」

ごめん、とも言えずに

うっちーからも逃げてしまった

もう、何もかも、全部が嫌だ

スマホの電源をつけると

里帆と黒田くんから

メッセージが来てるが

開く勇気もなくて知らない道を曲がった