10話 ページ10
二宮「それで？Jは何の用事で来たの？」
松本「あ、そうそう。このイベント大変なことになってて。」
二宮「アプリの発表イベントだよね？トラブル？」
松本「このイベントの目玉になってた、日本未上陸ブランドとのコラボミニトートバッグが届かないかもしれない。」
え？
二宮「は？」
松本「実は、フランスから大型貨物船で日本に来ることになってたんだが、船が故障して、荷崩れの可能性があるから出航できないらしい。今、アラブ首長国連邦に停泊してる。」
二宮「そこから飛行機で運んだら間に合うよね？」
松本「現地に支社がないから指示できる人がいないからそれは無理だ。」
それなら。
貴方「別の船に積み替えるというのはどうですか？」
松本「今、日本関連企業の船が周辺にいないんだよ。」
貴方「今積んでるのはアストー社の船ですよね？」
松本「そう。」
だったら、、、、
二宮「涼宮？」
やっぱり。
貴方「マリン社の船が近くにいます。」
松本「マリン社？」
貴方「はい。マリン社なら、この後日本にも来るので問題ないかと。」
二宮「それはどこの船？」
確か、、、
貴方「ドイツです。」
松本「そんな企業と取引あったっけ？頼める？」
貴方「一度向こうの運航責任者とお会いしたことがあります。連絡してみましょうか？」
二宮「ああ。頼む。」
貴方「承知しました。」
常務。通称セクハラじじいに同行したパーティーであったんだよな。たしか。
ついてた時はくだらないって思ってたけど、役に立つもんだな。
ーーーーーーーーー
貴方「社長、取引成立です。向こうのスタッフが積み替えも手配してくれるそうです。」
松本「助かった。涼宮さん、ありがとう。」
貴方「いえ。」
二宮「向こうの提示条件は？」
え？
貴方「ありません。」
二宮「は？」
貴方「貸しがあるんですよ。この間常務と同行したパーティーでお会いして大事な商談成立のお手伝いをしたんですよ。」
松本「商談の手伝い？」
貴方「はい。通訳が手配できなくて困ってらっしゃったので通訳に入ったんです。そうしたら、今度ぜひ恩返しをさせてくださいと言われたので、お願いできました。」
情けは人の為ならずって本当のことだな。
松本「とにかく、涼宮さん、ありがとう。じゃあ、大詰め作業に行ってくる。」
二宮「J頼んだよ。」
役に立ったみたいでよかった。
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作者名：りりか | 作成日時：2020年6月16日 14時
