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彼がどんな被害に遭っていたのか、詳しくはまだわかっていない。
いじめが発覚して警察に連行されたスタッフ数名の証言からいくらかわかっている部分もあるのだが、それすらもあちら側の言い分であるし、それ以外のことはまったくわからない。
最初の頃は、警察が事情聴取で望本人に質問をしたり、病院の先生が話をもちかけたりしていたが、その度に彼の病状が悪化してしまい、断念。
回復してきてからも、それだけは変わらなかったから、当時の話に触れることすらもやめた。
大事なのは今であって、過去ではない、と、みんなで話し合って、探るようなことはしないと決めた。
いつか、彼が話したいと思えるその時まで。
しかし今回のように、彼の言動から、俺らの知らない当時の惨状が顔を出すことがある。
そして、わかってしまった。
事実を聞かされるよりも、事実を知らないまま想像してしまうことの方が、遥かに恐ろしいということを。
桃「っはぁ、はぁっ、は、ひっ、、」
荒く苦しげな呼吸音がぼんやりと聞こえてきて、我に返る。
もやがかかったように目の前が見えなくなっていた頭を振って、すぐさま気持ちを切り替えた。
少しでも楽になるようにと後ろから抱きしめるようにして支え直す。
「大丈夫、ここは淳太のおうちやで。怖いもんなーんもないで。」
ゆっくりと話しかけながら、必然的にお腹のあたりにまわった手でお腹をぽんぽんと一定のリズムで叩く。
忙しなく上下する肩越しに、床にだらりと垂らされた手が見えて、空いた手で上からふんわりと覆った。
床に温度を奪われたそれは冷えきっていて、"あの時"の望の孤独を背負っているようだった。
「のんすけ、はまちゃんここにおるよ。だいじょぶ、だいじょぶ、、、」
覆うだけじゃ心もとなくて結局握った彼の手。
ほんの少しずつ自分の体温で温まっていく一秒一秒が何十分にも感じられて、じれったくて仕方なかった。
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ぱる(プロフ) - このお話が大好きで、何度も読み返しています。描写が細やかで、胸がギュッとなったり温かくなったり、メンバーと一緒にのんちゃんを見守っている気持ちになります。笑これからも楽しみにしています！！ (3月7日 23時) (
レス) @page25 id: b150b2b268 (このIDを非表示/違反報告)
ぴょん(プロフ) - 続編ありがとうございます！！これからもお話読むの楽しみにしています！！何回も読み返します！！ (1月18日 12時) (レス) @page3 id: e4a60325cd (このIDを非表示/違反報告)
Sugar(プロフ) - 続編を書いて頂き、本当にありがとうございます。メンバーの声の掛け方や寄り添い方がそれぞれ違くて、いつも感動しています。無理せず作者様のペースで更新して頂いたら嬉しいです！ (1月18日 7時) (レス) id: f22ab67b99 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ricoco | 作成日時：2024年1月18日 0時
