4週間 ページ13
.
黄side
「のーんちゃん、ごはん持ってきてくれたで。食べへんの？」
真っ白な部屋に、真っ白なベッド。
そして、彼の左腕を覆う、真っ白な包帯。
それを見つめる瞳は白を映しているはずなのに、真っ黒に淀んでいるようだった。
＊＊＊
俺と流星、というなんとも珍しい組み合わせで出演したバラエティ番組の収録が巻いて、当初の予定よりも早めにお見舞いに行くことになった。
ちょうど良いタイミングでラジオ収録が終わったらしい�陲舛磴鵑�らも連絡が来たので、合流して3人で病院に向かう。
マネージャーさんの運転する車内で他愛もない話をするけれど、その空気は少し重い。
のんちゃんが入院して約1ヶ月。
つまり、彼が活動休止を発表して約1ヶ月が経つということだ。
1ヶ月前は、こんな風に定期的に病院を訪れることになるとは、予想もしていなかった。
突然のことだったから、各方面に事情を説明したり警察の事情聴取を受けたりとバタバタしている間に、気がついたらこれだけの時間が経っていた。
それでものんちゃんのお見舞いを欠かすことはない。必ず毎日メンバーの誰かしらが行くようにしている。
彼の状態は、PTSDの傾向が強く、なかなか安定していない。
つい先日も、医師からしばらく退院は難しいかもしれないという通告を受けたばかり。
すぐにみんなにも報告したから、流星と濱ちゃんも気にしているのだろう。
車内はついに静まり返ってエンジン音と風を切る音がやけに大きく聞こえていた。
、、、俺らがこんなんやったら、治るもんも治らんやろ。
「大丈夫や、きっと。」
口にしたのはたったそれだけ。
でも、ふたりには伝わったみたいで。
青「おん。」
紫「せやんな、笑顔や、笑顔。」
先程よりも幾分か表情を緩めたふたりと、また静かな会話をしながら病院へ向かった。
＊＊＊
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 336人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぱる(プロフ) - このお話が大好きで、何度も読み返しています。描写が細やかで、胸がギュッとなったり温かくなったり、メンバーと一緒にのんちゃんを見守っている気持ちになります。笑これからも楽しみにしています！！ (3月7日 23時) (
レス) @page25 id: b150b2b268 (このIDを非表示/違反報告)
ぴょん(プロフ) - 続編ありがとうございます！！これからもお話読むの楽しみにしています！！何回も読み返します！！ (1月18日 12時) (レス) @page3 id: e4a60325cd (このIDを非表示/違反報告)
Sugar(プロフ) - 続編を書いて頂き、本当にありがとうございます。メンバーの声の掛け方や寄り添い方がそれぞれ違くて、いつも感動しています。無理せず作者様のペースで更新して頂いたら嬉しいです！ (1月18日 7時) (レス) id: f22ab67b99 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ricoco | 作成日時：2024年1月18日 0時
