# 9-4 ページ44
▽
「どうぞ、こちらへ」
部屋に入るなり、長机の前に座らされる。
なんかドラマでよく見るやつだ、なんて妙に冷静な自分がいた。
「早速ですが、病状から説明させていただきます」
先生がそう言うと、机の下で手越がそっと手を握ってくれた。
「まず、血液検査の結果ですが、血小板の数値の減少が著しく進んでいます。特に増田さんの場合、生命に関わる基準値を大きく下回っています」
「先生、っ、最近調子が良かったのに、どうして急に...？」
手越が堪らず口を開いた。
「はい。ステロイドの投薬で、一時的に数値は回復していました。ですが、半年近く経った今、また数値が減少しています。
通常は一旦数値が安定するのですが、増田さんの場合すぐに再発を繰り返してしまう傾向が見られます」
「それは、つまり...」
「増田さんの場合かなり難治度が高く、今回のように大量出血が起きれば命の危険もある、ということです」
それを聞いて、前に診断を受けた時の先生の言葉を思い出した。
"難治性の場合、生死に関わる。だけどそれはほんの数%"
じゃあ、俺は、その数%ってこと...？
それを考えた瞬間、頭が真っ白になった。
「...はぁっ、っ」
「まっすー、大丈夫、ゆっくり呼吸して」
気づいたら上手く息が出来てなくて、手越が背中をさすってくれる。
「すみません、続けてください」
「はい。増田さんにはこのまま入院していただき、プレドニンという薬の投薬に変更します。また半年ほど様子を見て、それでも数値が下がり続ける場合は脾臓の摘出も考えなければなりません」
「はん、...とし...？」
俺はその言葉に思わず反応する。
だって、半年後は、大切なライブが...
「増田さん。お仕事をしたい気持ちは痛いほど分かります。ですが、増田さんが思っている以上に、増田さんの身体は良くありません。厳しいようですが、今は治療に専念することを一番に考えてください」
部屋を出て、病室に戻ってからも、もう何も話す気持ちになれなかった。
「まっすー...」
ベッドに横たわれば背中越しに手越の声が聞こえたけど、今はその大好きなはずの声を聞くことすら苦しいことに悲しくなった。
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未来(プロフ) - なんだか読んだ覚えあるな、と登山の内出血のところで気づいたのですが、ほんならまた来世でなっていうのと被ってるのですね！（そちらの方はこの前読んだんです！）素晴らしい作品ですね、いつのまにか泣いてます(笑) (2020年5月16日 2時) (
レス) id: 8bbaf315cc (このIDを非表示/違反報告)
かの(プロフ) - みーぽんさん» 了解です ！これからも頑張って下さい d(^_^o) (2020年4月4日 0時) (レス) id: a1c36b0d98 (このIDを非表示/違反報告)
みーぽん(プロフ) - かのさん» ごめんなさい、単なる誤字です。笑 ご指摘ありがとうございました(^^) (2020年4月3日 23時) (レス) id: 009673d39a (このIDを非表示/違反報告)
かの(プロフ) - みません。 (2020年4月3日 23時) (レス) id: a1c36b0d98 (このIDを非表示/違反報告)
かの(プロフ) - こんばんは、いつも楽しく読ませてもらっています。気になる点があったので、コメントしました。 ＃3-5のお話で｢くつろいがせてもらっていたら、｣という表現があるのですが、｢くつろがせてもらっていたら、｣の表記の方が正しい気がします。私の知識不足だとしたらす (2020年4月3日 23時) (レス) id: a1c36b0d98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みーぽん
| 作成日時：2019年8月18日 1時
