2.5話 ページ7
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其の日の夜、太宰宅にて
久方ぶりの酒を呷る。此処数日、マフィアに囚われていて碌に呑めていなかった。数日ぶり、然も中也の痴態を肴に呑む酒は実に美味い。
ふと静かだなと思い床に目をやると、先程まで寝転がって本を読んでいた彼女が寝てしまっていた。
「A…A 此処で寝ないで」
起きてと声を掛け乍ら体を揺すると、彼女は不満気な声を漏らしつつ私の手から逃れようと身をよじる。こんなに寝穢い子だったかなと思いつつ体を揺らし続ける。
穏やかな夜だ。この生活を始めた二年前では考えられない程静かで穏やかだ。あの頃は酷かった。過去のトラウマに日々のし掛かる精神的な負荷、其れ等により彼女が癇癪を起こす事も度々あった。
それでも此の子と向き合い続け、やっとの思いで手にしたのがこの夜だ。それなのに、再び彼女を戦火にさらさなければならないと思うと気が重い。
「せんせい?」
少々考え込んでいると、漸く起きたらしいAが眠たげな目で此方を見ていた。揺する手を止めると、彼女は何を思ったのか私の脚に頭を乗せ、寝心地が悪いと文句を云ってきた。
「甘えん坊かな?」
「先生が不安そうな顔してたから」
揶揄うように問い掛けるとゆったりと笑い乍ら彼女は答えた。そうかいと言葉をこぼしつつ頭を撫でてやると、彼女は又うとうとし始めた。
「憎たらしい顔」
私の嫌味を聴き流し、再び眠りについた彼女を咎めようとは思えなかった。
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突然の同居設定
実は此の二人、お互いの事を信頼はしてるけど、内心あんまり良くは思ってないんですよね
Aちゃんは意地悪だから嫌いだと思ってるし、太宰さんは日増しに奴に似てきてるなって思ってる
それでも一緒にいるのは使命感かなぁ
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作者名:手羽さき x他1人 | 作者ホームページ:
作成日時:2019年8月26日 22時