可愛いあの人 (ページ36)

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ar side

『………』

「………」

『………あのさぁ、、そんなに落ち込むならさっさとキスでもしてこいよ！毎日毎日辛気臭いなぁ…』

「っ、…はぁ⁈な、何言ってんだよ……ってか、落ち込んでないし」

俺は誤魔化すように、目の前のビールをぐびぐび飲んだ。

『好きなんだろ？高校生くんのこと…』

「………だよ…」

『…はぁ？なんて？？』

「だから困ってんだよ！！」

あぁ、そうだよ。

山田の言う通りだよ。

アラサーが高校生のガキにあっさり落とされましたよ。

悪いか！！

「相手は高校生だぞ？10代だぞ？？好きです、付き合いましょう。なんて簡単な話じゃねーんだよ」

『………ふーん…』

「受験だってあるし、今が大事な時期だろ？それに、この先就職してどこか遠くに行くことだってあるかもしれないし…高校生の恋愛ごっこに付き合うほど、俺はもう若くないんだよ…」

『…………大ちゃんはさぁ、相手の将来を心配してんの？それとも自分が傷付くことを心配してんの？』

「……………どっちもだよ、」

もし、俺と付き合うことになったとして、10個も上だし、男同士だし…そのせいでうまくいかないことがあったとしたらお互い辛いだけじゃん。

だけど、今ならまだ引き返せるし…

『……でもさ、このまま逃げるのは違くない？メールだって、ずっと返してないんだろ？』

「…………」

毎日のようにくるメールも、返信できなくてずっと既読スルーしている。

『どっちにしろさ、ハッキリさせてあげる方が、あの子のためだと思うけど？』

「………んなの…分かってるよ、」

『まぁ俺は、大ちゃんが素直になる方がいいと思うけど…』

「山田…」

『だって俺、知念くんのこと気に入っちゃったもん！繋がりが断たれると困るし』

「………山田…」