可愛いあの人 (ページ30)

今日:8 hit、昨日:0 hit、合計:48,077 hit

30 ページ30

ar side

ひと通り食べたあと、すぐ近くの川に行った。

高校生たちがパシャパシャと水をかけ合って楽しんでいるのを、俺は保護者のように見守っていた。

……っていうか、山田の奴…

どこ行ったんだよ。

「有岡さーん！有岡さんも来てくださいよー」

右手をブンブンと勢いよく振って、俺を呼んでる奴がいる…

「…冷たくて気持ちいいですよ？」

そう言いながら、俺の方へと彼は近づいてきた。

「………」

「ほらほら、」

彼は俺の腕を引っ張って、無理矢理川の中へと入っていった。

ゴツゴツする石の上は、サンダル越しでも滑ってしまいそうだった。

「っ、…冷てっ……あ、でも気持ちいい」

「ふふっ、可愛い…」

「はぁ⁈だから大人をからかうなっつーの！」

「からかってないですよ？ただ純粋にそう思っただけです」

彼はニコニコしながらこっちを見た。

………

「あ、あのさ…」

『いのちゃーん！僕先に戻ってるねー』

「分かったー」

彼は友達に向かって手を振った。

「知念、暑いのあんまり得意じゃないんだよなぁ…」

「そうなんだ…」

「あ、えと…さっき何か言いかけてました？」

「………いや…」

………

「…っ、…ぉわっっ⁈」

彼に背を向けた瞬間、石に滑ってバランスを崩した。

ヤベっ…転……ぶ…………っ、！……⁈⁈

「セーーーフ！！良かったぁ…」

「………」

「大丈夫ですか？有岡さん」

「………」

「有岡さん？」

なんで……

なんで俺…………

高校生のガキに抱きしめられて、ドキドキなんてしてんだよ。