いのありtime (ページ36)

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in side

去っていく大ちゃんの背中を見つめたまま、俺はその場からしばらく動けなかった。

『何で、別れたくないって言わなかったの？』

いつの間にか俺の隣には高木が立っていた。

『ごめん…たまたま聞いちゃって、、』

「どこから俺…間違えちゃったんだろ……」

あんなに幸せだった日々は、この一瞬でどこかにいってしまった。

「大ちゃんにとっては、ただの遊びに過ぎなかったのかな…」

『そんなことないよ。それに、伊野尾くんだって分かってるんでしょ？』

分かってるよ…

全部全部分かってる。

大ちゃんが俺のことを思って別れを決意したことも。

本気で俺のことを好きになってくれたことも。

分かってるけど…

大ちゃんと恋人として過ごした4年は本当に幸せで、だから今は苦しくて仕方ない。

こんなことなら、大ちゃんに付き合おうなんて言わなければよかった。

だけど、ずっと自分の気持ちを誤魔化して、好きでもない人と付き合うのは苦しかった。

冗談でも、遊びでもいいから大ちゃんと恋人になりたかったんだ。

「なぁ、高木…いつかこの苦しい気持ちってなくなるのかな…」

『さぁ、…どうなんだろうね………でも、伊野尾くんなら大丈夫だよ。だからさ、今は……泣いてもいいんだよ？』

そう言われた瞬間、俺の中から何かが溢れるように涙がこぼれた。

大ちゃん…大好きだったよ。

俺が本気で恋をしたのは、大ちゃんだけ…

end