2 ページ2
ar side
何度目かのアラームで目が覚めた。
この瞬間が1番嫌いだ。
俺に現実を突きつけてくるこの瞬間。
一気に現実に引き戻される瞬間。
ずっと夢の中にいたかった。
ずっといのちゃんの恋人でいたかった。
現実なんてただただ辛いだけだもん…
報われない恋をした俺が悪いんだけど。
そんな憂鬱な気分をかき消すように、豪快に顔を洗った。
そのおかげで、さっきよりも思考回路はしっかりとしてきた。
たとえ報われなくても、ずっとそばにいられればそれでいいと決めたのは俺自身。
一生恋愛対象として見られなくても、一生同じメンバー、一生親友というポジションでいられるのならそれでいいと…
そんな風に現実世界で気持ちを押し込めているせいか、夢の中ではいのちゃんに甘えてばかり。
だけど、そんな我儘な俺でも"好きだよ"とか"可愛い"って言ってくれる。
だから、なんとなく心のバランスは取れているのかもしれない。
昨日も夢の中では、いのちゃんに甘えっぱなしだった___
.
「どうしたの?大ちゃん」
「……ギュッて、、してほしい」
隣に座るいのちゃんの手を握り、少し垂れ目な優しい瞳を見つめた。
テレビの収録中だけど、そんなの関係ない。
だってこれは夢の中なんだもん。
どんなことしたって平気。
何も問題ないでしょ?
「大ちゃん、本番中だよ?」
いのちゃんは少し驚いた顔をした。
「いいの…どうせ夢なんだから」
夢の中くらい、自分に素直でいたい。
「ふふっ、変な大ちゃん」
そう言いながらも、いのちゃんは俺のことを優しく包み込んでくれた。
メンバーも司会者も、それからスタッフの人たちもみんな騒いでるけど、俺には聞こえない。
いのちゃんの匂いを胸いっぱいに吸い込んだ俺は、2人だけの世界に入り込んでしまうんだから。
121人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Tea time(プロフ) - 奈々さん» 感想ありがとうございます (2021年1月2日 19時) (レス) id: 6bab8075cd (このIDを非表示/違反報告)
奈々 - お疲れ様でした! とっても面白かったです、! (2020年12月12日 13時) (レス) id: 153e514372 (このIDを非表示/違反報告)
奈々 - このお話、ドキドキして大好きです! (2020年12月9日 10時) (レス) id: 153e514372 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Tea time | 作成日時:2020年12月3日 19時