検索窓
今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:4,705 hit

CASE.45 ページ2

side.you




「おい、変なことされてないか」



「そうなる前にイギリスくんが来てくれたから」



そう言うと安心したようにそうか、と答えた。


だがそれと裏腹にイギリスくんの顔を私は真っ直ぐに見ることができない。



子供が大人に叱られているのと同じ。



罪悪感や緊張、恐怖。



それに値するものはどうしてこう真っ直ぐ、誠実な人と顔を合わせられないのか。




私のぎこちない表情が出てしまったのかイギリスくんは遠慮がちに顔を覗き込んできた。



「どうした?」



「、っ」



大丈夫です。
在り来りな解答は口からでず喉からつっかえる。



「あー、あれです。日頃の疲れ的な!」



間がだいぶあいたが一応イギリスくんにそう返した。


こんなに心配してくれる人の敵だなんて。



アーサーさんのやってることは『悪』ではないがそれはあくまで私の価値観だ。



要は、どう説明していいかわからない。



もやもや


胸の中になんとも言えない塊が留まる。



これ以上いたら、いたたまれない。



「じゃ、じゃあ私もう教室行くから!」



退散しようと私はイギリスくんに背を向ける。



「待て」



腕を捕まれ、反射的に振り向いてしまった時は既に遅し。


綺麗に整った顔が至近距離で近づく。


彼のエメラルドの瞳がゆらゆらと揺れる。





「クマができてる」



「ちょっ、」



私の瞳の下に綺麗な指先がクマをなぞる。



それがイギリスくんの指だとわかったのは数秒後のこと。



「寝不足か?ちゃんと寝なきゃ駄目だろ」



くすぐったいし、何より近い。



頬に熱がじわじわと昇ってくる。



「ちゃんと休め。いいな」



「う、うん」



だから早く離れてほしい。


こういう時の彼は敏感ではなく鈍感なのか。



「いい子だ、じゃあ仕事に戻る」



まるで風が流れるように離れ、



私とは反対方向に向かって早歩きで去っていく。



心臓の早鐘がまだ鳴り止まない。



私が唖然としていると、イギリスくんがくるっと振り返る。



妙に顔が赤いのは気のせいか。



「べ、別にお前を心配したわけじゃないからな!」




その言葉を最後にイギリスくんは走って行ってしまった。

CASE.46→←CASE.44



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (35 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
35人がお気に入り
設定タグ:APH , ヘタリア , イギリス
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

抹茶塩(プロフ) - みらーど@アニヲタさん» コメントありがとうございます!かなり自分のペースで書いております!続きかけるよう頑張りますのでお待ち頂けたら幸いです(><)改めてありがとうございました! (2018年11月4日 23時) (レス) id: d8767b3e74 (このIDを非表示/違反報告)
みらーど@アニヲタ - 続き気になる (2018年11月4日 13時) (レス) id: c4ab0bab4e (このIDを非表示/違反報告)
抹茶塩(プロフ) - 光希さん» 光希さん、コメントありがとうございます。失踪気味にも関わらずこういった暖かいコメントを頂けるのはとても励みになります。次更新する時は一気にできると思うので、お待ち頂けると幸いです(´∀`)改めてありがとうございました! (2018年10月10日 15時) (レス) id: d8767b3e74 (このIDを非表示/違反報告)
光希(プロフ) - とても面白かったです!!続きが公開されるのを楽しみにしています!お体に気をつけて頑張ってくださいね!応援しています! (2018年10月7日 16時) (レス) id: cfe2cc8d41 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:抹茶塩 | 作成日時:2018年8月18日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。