ココロの距離 (ページ8)

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約束していた時間に、大ちゃん家のインターホンを鳴らす。

「今開けるね」

オートロックのエントランスを抜け、エレベーターで大ちゃんの部屋の前まで行く。

深呼吸をして再度インターホンを押した。

すぐに玄関のドアが開いて、大ちゃんが笑顔で迎えてくれた。

「おじゃまします」

リビングに通され適当に座る。

久しぶりの大ちゃん家。

当たり前だけど、大ちゃんの匂いで溢れていて、すごくドキドキする。

「久しぶりだよね、ウチに来るの？」

「うん、そうだね…」

心臓がバクバクして、おかしくなりそう。

「どうする？お酒飲む？」

「うん、ちょっと飲もうかな」

少しお酒を飲んだほうが話しやすいかもしれない。

お酒と、俺が適当に買ってきたごはんを一緒に食べた。

.

お腹が満たされた頃、俺は話を切り出した。

「あのね、大ちゃん…」

「なに？」

「今日は大ちゃんに話したいことがあって…」

「うん」

いつものきゅるんとした目を俺に向ける大ちゃん。

目を見て話すなんて無理だった。

「えっと…俺もうすぐ誕生日でしょ」

「うん」

「だから、それまでにどうしても大ちゃんに言わなきゃいけないことがあって…それでね…」

「…うん」

「あのね、俺………大ちゃんのことが好きなの」

「え？」

怖くて顔上げられない。

大ちゃん今どんな顔してるんだろ…

やっぱ引いてるよな。

「えっと、、それって…その…」

「うん…恋愛のほう…」

心臓の音がうるさい。

頭の中まで響いてくる。

「えっと…あの、いのちゃん…」

ゆっくり顔を上げると、大ちゃんは困ったような顔をしていた。

そうだよな…

いきなり男から告白されても困るよな…

「大ちゃんごめんね。困らせるつもりはなくて。ただ、自分の気持ちにけりをつけたかっただけだから。だから本当に…」

緊張をごまかすために、俺は必死にまくし立てた。

.

「………ごめん」

.

「…ううん、これからもメンバーとして、今まで通り接してくれたらそれで充分だから」

本当は心臓がキリキリ痛んだけど、気付かないふりをして言葉を繕う。

大ちゃんが傷つかないように…

そして、俺の心の中がバレないように…