ココロの距離 (ページ3)

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「高木、俺決めたから」

仕事終わりに高木オススメのお店でお酒を飲む。

本当オシャレなお店よく知ってんだよな。

『何を？』

「もう、大ちゃんのこと諦める」

『………そう』

お酒をひと口飲みながら優しい口調で返事をする高木。

毎回毎回同じことを言ってるせいか、たぶん間に受けてないのだろう。

「今回は本気だから！なんかもう隠せる自信もないし…」

『そう…それで、本当に諦められるの？』

そんなの分からない。

もう何年もこの気持ちと戦ってる。

だけど、溢れた想いがいつか大ちゃんを傷つけるかもしれない。

困らせるかもしれない。

そう思ったら俺が終止符を打つしかないと思った。

だけど、本当は拒絶されて自分が傷つくのが嫌なだけ…

「分からないけど…もう辛い…」

『だったら、最後に気持ち伝えてみたら？有岡くんに』

「それは…」

『伊野尾くんの気持ちを知っても、拒絶したりする人じゃないでしょ？有岡くんは』

そう…大ちゃんは絶対にそんなことはしない。

分かってる、分かってるけど…怖い。

「そうかもしれないけどさ…」

『それに…』

「それに？」

『いや…なんでもない』

「だって、大ちゃん普通に女の子好きだし…」

大ちゃんが今までどんな子と付き合ってたのか、だいたいは知ってる。

だから万が一俺のことを好きになるなんてことはあり得ない。

そもそも俺、男だし…

そのあと、2人で他愛もない話をしてその日は別れた。

.

家に帰ってからも高木に言われたことが頭をよぎる。

この先後悔しないためにも、大ちゃんに気持ちを伝えたほうがいいのだろうか…

それとも、気持ちは隠したままメンバーとして付き合っていくほうがお互いのためなのだろうか…

俺は永遠に答えの見つからない自問自答を繰り返していた。