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和「この辺りで停めましょうか。」
和也の言葉を聞いて潤が車を止めたのは
四方を木に囲まれた山中
僅かに轍の残る道なき道の途中だった
雅「ここなの？」
和「ちょっと歩きますけどね。車はここまでが限界。」
翔「じゃ、行きますか。」
潤「よし。」
ｴﾝｼﾞﾝを止め車から降りる
日が昇る前の山中は薄暗く
辺りは霧が立ち込め
数ﾒｰﾄﾙ先も見えない
そんな中を
和也はﾊﾟｿｺﾝの地図を頼りに進んで行く
すると突然視界が開け
目の前に小さな小屋が現れた
翔「ここ？」
和「みたい。」
雅「なんかｼｮﾎﾞいね。」
潤「見張りもなしか。」
建てられてから何年も経過しているであろう小屋は
窓もなく
小さなﾄﾞｱがあるだけ
見渡す限り見張りもいなければ
人が潜む気配すらない
翔「俺達が来るとは思っていないか、」
潤「見張る必要もない程ﾅﾒられてるか、」
雅「不信に思われないように見張りがいないか、」
和「歓迎されてるか。」
翔「俺、ニノに一票。」
潤「俺も。」
和「なんですかそれ(笑)」
雅「まぁそう思った方が楽しいじゃん？」
雅紀はそう言って楽しそうに笑顔を見せる
しかし次に振り向いた時
その表情は真剣なものへと変わっていた
雅「無傷で戻るのは不可能。でも絶対に誰一人欠けちゃﾀﾞﾒだよ。」
潤「当たり前だ。」
和「大野さん連れて、必ず5人で帰りましょ。」
翔「我等がﾘｰﾀﾞｰ、大野智の奪還作戦だな。」
そしてそれぞれ拳を突き出すと
それを合わせた
雅「俺達は仲間を見捨てない。最後まで戦う。自分の為に、仲間の為に。何があっても諦めない。目的はﾘｰﾀﾞｰの奪還、そして5人揃って帰る事。いいね？」
翔「うん。」
和「はい。」
潤「おう。」
雅「………よし、行こう。」
姿勢を正し
顔を上げ
4人は歩き出す
笑顔を封印したその表情は凛々しく
滅多に見せぬ鋭い眼光が
決意の程を物語っていた
その4人の頭上に雨が降る
雨がもたらすのは
恵みか
はたまた災いか
光も届かぬ地下で待ち受けるのは
闇と敵
絶望と悲しみ
そして喪失感
苦しみの果てに
未来はあるのか
.
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作者名：風 | 作成日時：2012年10月19日 21時
