Deep hole ページ14
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雅「ちょっと、翔ちゃん!!」
翔「わかってるって!!」
雅「あぁもうやだやだ!!」
翔「俺だって嫌だよ!!」
雅「だったらもっと早く走って!!」
翔「これ以上は無理〜!!」
どこまでも続く白い通路
その壁に血の跡を見付けた翔と雅紀は
戦闘に備えて思わず身構える
しかし
現れたのは敵(人間)ではなく
大量の虫だった
突然背後の天井から湧いて出た虫達は
迷う事なく
一直線に2人に向かって来た
あまりに突然の出来事に
会話をする間もなく前へと走り出す
そして今も逃げているのだ
雅「なんで追っかけてくるの〜?!」
翔「知らねぇよ!!」
雅「もぉ〜って、翔ちゃん足!!」
翔「えっ？……うわわわわわわわわわ!!」
その時雅紀が見たのは
翔の足に張り付く1匹のﾑｶﾃﾞ
それに気付いた翔は慌てて足を大袈裟に動かす
するとﾑｶﾃﾞは後方へと飛んでいった
その先には白い通路を黒く埋め尽くす程の虫
2人は振り向いた事を
心の底から後悔した
翔「やっべ、やっべ、やっべ、やっべ、やっべ。」
雅「んな事言ってるﾋﾏがあるなら、もっと早く走ってよ!!」
翔「だからもう限界なんだって!!」
雅「体中、虫だらけになっても知らないからね!!」
翔「俺を見捨てんのか?!」
雅「遅い翔ちゃんが悪いんじゃん!!」
遂に口論を始めた2人
その背後に虫が迫る
しかし
走り続ける通路の先に
突然大きな黒い空間が現れた
それを見て
今まで翔に合わせて走っていた雅紀は
一気にｽﾋﾟｰﾄﾞを上げ
その空間へと辿り着く
そしてすぐ脇の壁にあったﾎﾞﾀﾝを押した
すると左右から
通路の入口を封鎖するｼｬｯﾀｰが
ゆっくりと出てきた
雅「翔ちゃん急いで!!」
雅紀の声を聞き
翔は残りの力を振り絞って走る
そして
雅「飛べ!!」
その声と共に
力強く足を踏み込み
両手を広げて自分を待つ
雅紀の胸に飛び込んだ
それを見届けるのを待っていたかの様に
ｼｬｯﾀｰは鈍く重い音を立て
2人の背後で
通路の入口を閉鎖した
雅「………ｷﾞﾘｷﾞﾘ、ｾｰﾌ。」
翔「ﾊｧ、ﾊｧ、ﾊｧ、ﾊｧ。」
雅「翔ちゃん、頑張ったね。」
翔「…最後、受け止めてくれて、ありがとう。」
雅「どういたしまして。」
翔「で、ここは？」
雅「さぁ？」
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作者名：風 | 作成日時：2012年10月19日 21時
