rAinbow teArs～osanm～pArt9 (ページ13)

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潤「待てよ。死んだ人間じゃﾀﾞﾒだって事は、

『生きたまま入れればいい。』

潤「…………。」

『生きたままの新鮮な体内に液体が浸透すれば、その後の保存は可能だ。浸透するまでは苦しいだろうが、どうせ死んでしまうのだから、気にする事はないだろう。』

和「………。」

『しかし我々の研究はあくまで死者の保存。だからあれは試作品だ。そして完成した今では、死後何日経とうが状態は一切変わらない。彼女が自ら望んで検体となって半年になるが、相変わらず美しい。』

潤「……あの人は、自らこうなる事を選んだのか？」

『そうだ。少しﾏﾅｰ違反をして退所処分となったのだが、それなら自分を研究に使えと言ってね。自ら引き金を引いたのだよ。』

そう言って男が指さしたのは

女のこめかみ部分

そこには確かに

銃弾で撃ち抜かれた痕跡があった

『どのみち死ぬ運命だったのだ。研究とはいえ、美しい状態を保っていられるなら、彼女も幸せで

和「もういい!!」

『ん？』

和「もう、もう…やめてくれ……。」

男の言葉を遮った和也

その拳は強く握りしめられ

隙間から紅い血が流れている

和「これ以上、ﾕｳやﾄｳﾏの死を無駄にする様な事は言うな。」

『無駄だとは言っておらんではないか。ただ勿体ないと言っておるのだよ。』

和「どっちも変わんねぇよ。お前らのせいで、ﾕｳとﾄｳﾏは死んだんだ。」

『私達のせい？それは違うだろう。全てはあの女が

潤「うるせぇ。」

男の言葉を

潤の低い声と共に放たれた銃声が掻き消す

弾は男の顔を掠め

背後の壁に当たった

潤「和、行こう。」

和「………うん。」

俯いたまま和也は小さく返事をして

入口に向かって歩き出す

その背中に男は声を掛けた

『人間の欲望に、終わりなどない。“永遠”もまたその一部だ。それは君達にもいえる事なのだよ。』

和「…そうかもしれない。でも俺は、俺達は、そんな形の“永遠”は望まない。限りがあるからこそ美しい。そういうものを大切にしたい。」

『さて、そんな甘い考えが通用するかな？』

潤「こんな暗いとこにいるお前にはわからねぇよ。」

『………闇は、君達が思うより深いぞ。』

神妙な男の声

それを背中で聞きながら

和也と潤はその部屋をあとにした

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