rAinbow teArs～osanm～pArt9 (ページ11)

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静かな部屋に

ﾊﾟｿｺﾝの起動音が響く

USBを差し込み

迷いもなくﾊﾟｿｺﾝを操作する和也の背中を見ながら

潤は一面だけ何も置かれていない

入口正面の壁を見ていた

そしてその違和感に気付く

潤「なぁニノ。」

和「ん？」

潤「この壁、動くんじゃないかな？」

和「えっ。」

潤「材質が他の壁とは違うし、天井に妙な隙間がある。」

和「操作ﾎﾞﾀﾝとかありそう？」

潤「いや、それは見当たらない。」

そう言いながら壁に手を突いた瞬間

突然壁はゆっくり上へと動いた

ﾊﾟｿｺﾝの画面を見ていた和也も

思わず振り向いて壁を見る

壁の向こう側にはもう一つ部屋があるのか

潤も和也も始めはそう考えていたが

膝程の高さまで壁が上がった頃には

それが巨大な水槽である事に気付いた

和「中に何か入ってるんですかね？」

潤「さぁな。」

和「ちょっと確かめてみ

潤「やめろっ!!」

水槽の中を覗き込もうと和也が体を屈めた瞬間

突然潤は大声でそれを制し

和也と水槽の間に割って入った

和「なに。急にどしたの？」

潤「見るな。」

和「えっ？」

潤「和、絶対に見るな。」

今にも泣き出しそうな顔をして

潤は和也にそう訴える

そして視界を奪う様に

ゆっくりと和也を抱きしめた

その背後で

壁は遂に天井まで上がり

その動きを止める

和「………潤くん？どしたの？」

潤「……………見るな。」

和「でも、

潤「出よう。この部屋には入るべきじゃなかった。」

和也の言葉には耳を貸さず

潤はそう言った

そして和也の肩を掴み

入口へと歩きだそうとしたその時

『どうだい？素晴らしいだろう？』

部屋の隅から年老いた男の声がした

『まだ研究途中ではあるが、もう完成したと言って間違いない。』

水槽の端

先程まで誰もいなかったその場所に

白衣を着た白髪の男は立っていた

そして笑みを浮かべ

水槽に入っているﾓﾉを見上げる

その姿を見て

潤は思わず和也を抱きしめる腕に力を込めた

潤「………お前は何者だ。」

『研究者だよ。この素晴らしい研究のね。』

潤「これのどこが素晴らしいって言うんだよ。」

『永遠の美しさ。君にはそれがわからないのかね？』

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