宝石のような瞳。ーバーボンsideー ページ7
(まったく、なぜ俺がこんな所に。)
デパートで一人、柱に寄りかかって化粧品を買うというベルモットを待っている。
今週はずっと組織、つまりバーボンとしての仕事が続いていた。
それも今朝終わり、ようやく帰れると思ったらベルモットに運転を頼まれたのだ。
(だいたい自分だってバイクがあるじゃないか。)
しかしそんなことを思ってはいても、" バーボン " が " ベルモット " に逆らうことは許されない。
柱の影から身を少し乗り出して様子を伺うと、どうやらひとつの店に絞って商品を見ているようだった。
そこに、彼女の後ろから店員が話しかけているのが見えた。
ふたりともこちらに背を向けているため、顔は見えない。
(はぁ...早く帰ってAに会いに行きたい。)
ため息をついてまた柱によりかかる。
こうすると俺からはベルモットはもう見えない。
ふと思い立って、上着のポケットからスマホを取り出す。
そして" バーボン " ではなく、電源を落としていた" 安室透"のものを起動させた。
SNSアプリを開くと、いくつかの通知があった。
それをスクロールして、差出人をザッと眺める。
一番期待していた名前は無かった。
『、、、、。』
いや、分かってはいる。
彼女はきっと仕事が忙しくなると言っていた相手に、むやみに連絡をするタイプではない。
分かってはいるが.....
少しくらい寂しがってくれてもいいのではないか。
寂しいような、苛つきのような、よく分からない感情が沸いた。
そしてもう一度電源を落とし、ふぅ、と二度目のため息をついて目を閉じた。
(まぁ正直まだ実感もそんなにないよな。俺だって送ってないんだからお互い様か。)
そんなことを考えていると人の気配を感じた。
『おかえりなさい、ベルモット。』
言い終わると同時に目を開けると、機嫌のよさそうな彼女がそこにいた。
「よく分かったわね。ふふっ、可愛い子に巡り会えたわ♪」
(へぇ...珍しい。さっきの店員か?)
先程ベルモットがいた店の方を見てみたが、それらしき店員はすでに他の客についていた。
(顔は見えないが背格好はAと似てるな。)
今日は金曜日だ。Aが帰る頃に会いに行こう。
明日は午後から公安に顔を出すだけだから、彼女が良いと言ったら泊まることもできる。
自然と頰が緩みそうになった。
『さて、ベルモット。お送りしますよ♪』
「あら、ご機嫌ね?何か良いことでもあったの?」
『えぇ、まぁそんなところです。』
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やっち(プロフ) - えっ終わりですか?続きが読みたいです (2022年4月18日 19時) (レス) @page16 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
イアデビル(プロフ) - 好きです!これで終わりですか?めっちゃ面白いので最新待ってます頑張ってください! (2020年3月22日 10時) (レス) id: ef5404f845 (このIDを非表示/違反報告)
壟薇 - チュキ(≧∇≦) (2019年9月25日 18時) (レス) id: ba5f7bf38b (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 好きです。更新頑張ってください! (2019年5月20日 11時) (レス) id: a6030a90d7 (このIDを非表示/違反報告)
梨王(プロフ) - ルートさん» コメントありがとうございました!夜しか眠れないなんて...朝もしっかり寝ましょう!?(ovo) (2019年3月17日 18時) (レス) id: 2a5069a4c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梨王 | 作成日時:2018年5月9日 7時