[名探偵コナン] 安室透のお気に入り[降谷 零]

口癖。 ページ8

ハムサンドを食べ終え、雪は彼氏と一緒に帰った。

私はというと、お店が急に混んできたため残業を頼まれた安室さんを1人待っていた。

(ほんとに2人で帰るの...？

1人で帰るのは確かに避けたほうがいいだろうけど、

心臓がもたない)



「Aさん、お待たせしました」

ビクッ

突然後ろから声をかけられて驚いてしまった。


『あ、あの、おつかれさまです！！！！』


安室さんはくすっと笑った。


「ありがとうございます。すみません、お待たせしてしまって。
では、車を回してくるので表で待っていて下さい♪」




車のキーを片手に、鼻歌交じりに裏口から出て行く安室さんを眺めていたが、すぐ我に帰った。






ついに戦いが始まる。

イケメン店員vs男慣れしてないただのOL

勝敗が確定しているようなものじゃない！怒

観念して、私は表のドアから外に出た。





(さぁA、気を確かに持って！！！！

焦ったらダメ！冷静に会話をするのよ。)

私は心の中でひたすら自分を応援し続けた。





焦るな、という言葉でふと思い出した。





と、同時に一台の車が目の前に停まって、ウィンドウが下がった。




綺麗な金髪がサラッと風に靡き、安室さんが私に笑いかける。



「さぁAさん、帰りましょう」




あぁ、ほんとに綺麗だなこの人。

この笑顔で一体何人の女の人を落としてきたんだろう。

私なんかそのうちの1人にすぎない。

そう考えると少し冷静になれた。





焦りは禁物。



私のことだから変なことを口走って安室さんに引かれてしまうかもしれない。


好かれたい、なんて贅沢は思ったことは無いけど、嫌われたくはないな。




落ち着こうと下を向いて、試合前に必ずささやく言葉をそっと口にした。









『焦りこそ、最大の罠.....』









ほんの一瞬、視界の中で安室さんがビクッとした気がしたが、気のせいだと思う。




今はもういない、私が大好きだった人の言葉。

憧れていた。

いつでも冷静で、人を助ける立場にあった人。

あの人がこの言葉を使うのは、もっと緊迫した場面だったけど。

いつのまにか、私の口癖にもなっていた。






よし、落ち着いた！




私は顔を上げて、初めて自分から安室さんを真っ直ぐ見た。



『お願いします！』




そして後部座席に乗ろうとしたが、

安室さんに隣に座るよう言われ、

仕方なく助手席におさまった。





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次は【口癖。】の安室sideを書こうと思います。

口癖。ー安室sideー1→←お詫び。

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