これでも先公よ。 (ページ3)

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Lesson02 ページ3

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『…なんで、また？』

今日の補講は1名。

もしや、と不穏な気持ちは的中するものだ。

資料室の扉を開けると

先日と全く同じ光景。

「ちゅーす。」

何でか知らんが、森下くんは笑顔だ。

補講で喜ぶなんてアホにも程がある。

いや、補講になるくらいだからアホなんだろう。

ニワトリが先か、タマゴが先か…

「何をブツブツ喋ってんすか。ヤバい人？」

『だから心の声を読むな！』

「いや先生ふつーに喋ってた。」

『というか…また？』

また、補講しなきゃいけないほど

ヤバい子なのか…？

この子の素性は知らないけど、いや、補講で喜ぶくら、

「言ったじゃないすか。」

『はっ、？』

「あれ、見てないすか？」

あれ？

アレ？

A.R.E.？

森下くんは、小さな紙切れのジェスチャーを見せた。

"また来ます。"

…あれだ。

『…あのね、これは楽しい場でも何でもなくて。』

「分かってますよ。補講っすよね。」

はいはい、やります。

そう言ってテキストを見ながら答案用紙を埋めていく。

何なんだ、最近の若い子は。。

脅威すら覚える程の図太さに若干引いた。

「…あの、」

『ん？』

森下くんが答案用紙を埋めているあいだ

私は時間を持て余して

足を組んではスマホを眺めていた。

気がつくと、凄く怪訝な顔で私を見つめていた。

「それでも先生っすか。」

『…一応ね。』

「伝線してますよ。」

『え。ほんとだ。』

ストッキングのほつれが伝線していることを指摘された。

私よりも先に気付くなんて。

あ～あ～と言いながら綻びを摘まむと

ビビビと拡がり、徐々にストッキングが意味をなさなくなる。

「高校生に足見せるなんて、誘ってんすか。」

『何言ってんの。刺激が強すぎた？』

ほら、と見せつけると

一瞬森下くんはたじろいだ。

「うん、ちょっとやばいっす。」

『え…』

何てことない仕草のように

顔に両手を添えた森下くんは

ほんの少し頬が赤くなっていた。

私は、急いで足を正して座り直した。

☆★02話あとがき

ストッキングって、生々しいアイテムだよね。

20240323 ぱるぱる