192.ジンクス ページ47
・
翔：「早く吹き消して」
A：「はい」
今日二度目のろうそくを吹き消し
肩を抱いていた腕が離れるのを寂しく思いながらも
真っ暗なこの部屋が明るくなるのを待つ。
カチッっと音でチカチカっと電気がついて
急に明るくなったのが目に負担になり目を細める。
一度目をぎゅっと閉じて、開くと
さっきは暗かったからケーキしか見えなかった
テーブルの上に広がるクリームシチューやサラダ。
そして、テーブルの端にある、
ドラマや映画で何度か見かけた特有なケースの中に入った指輪。
あまりにも、その状況が夢みたいで
驚くことも、喜ぶことも表現することができず
ただ、指輪一点を見つめる。
私がそうやって呆気にとられていると
左手を取られてその指輪を私の小指にはめようとするときもなお
なにも声を発することができずにいた。
翔：「18歳の誕生日にシルバーリングをもらうと
幸せになれるってジンクス知ってる？」
はめた指でそのまま指輪を撫でながら私に聞く。
A：「どっかで聞いたことあるような…」
その様子を眺めていると、翔さんがゆっくりと顔を上げて私を見た。
翔：「俺が幸せにしたいから、俺があげんの。」
そう言う翔さんの瞳は優しさと愛しさで溢れていて
大きな目が三日月を描いて、好きって伝わる表情や声を目にすると
胸がきゅぅて締め付けられる。
でも、その締め付けは苦しくないし、むしろ心地よくて温かい。
A：「大切にします」
シルバーリングがはめられた左手をぎゅっと胸に抱く。
A：「本当に、嬉しいです。
ありがとうございます」
じわっと、涙が浮かんで涙目で翔さんを見上げると
翔さんが私の両方の頬に手を添えて親指で目の下を撫でる。
翔：「ん」
やっと、嬉しさを表現できた私を翔さんは満足そうに頷いた。
翔：「ね、こっちも見て」
ぐいっと手で私がテーブルを見るように向ける。
翔：「人参、大きい過ぎるかも」
指輪に驚き過ぎてまったく意識してなかったけど
今思えば、テーブルに並べられているシチューは
野菜も入ってるし、翔さんが作ったということになるよね？
温めるだけのレトルトなら具は入っていないし。
A：「翔さんが作ったの？」
翔：「そうだけど(笑)」
A：「野菜切るのも？」
翔：「かなりいびつだけどね…(笑)」
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 415人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カレン(プロフ) - せいこさん» 初めまして!気持ちの変化も成長も、櫻井先生のおかげです♪そんなお二人をこれからもよろしくお願いします(^o^)応援ありがとうございます！ (2016年5月3日 11時) (
レス) id: a9e0cca142 (このIDを非表示/違反報告)
カレン(プロフ) - キョロちゃんさん» 初めまして、コメントありがとうございます。これからも翔さん素敵だなって言ってもらえるよう頑張ります(*^^*)第5章もよろしくお願いしますね！ (2016年5月3日 11時) (レス) id: a9e0cca142 (このIDを非表示/違反報告)
せいこ(プロフ) - 初めまして。昨日、今日とで一気に読ませて頂きました。ストーリーといい、登場人物皆んな大好きです。主人公の気持ちの変化、成長していく姿が目に見える様です。大好きなお話です。これからも楽しみに待ってますので、頑張って下さい(*^_^*) (2016年5月2日 19時) (レス) id: 9bbea5e87c (このIDを非表示/違反報告)
キョロちゃん(プロフ) - カレンさんはじめまして。いつも楽しみにしています。私は熊本市内に住んでいます、まだまだ余震も続いているんですが唯一の楽しみになっています。やっぱり翔さん素敵ですよね。是非続きも楽しみにしています。 (2016年4月25日 6時) (レス) id: ad68473bef (このIDを非表示/違反報告)
カレン(プロフ) - さくさん» それは本当によかったです。これぐらいのことしかできない無能な私ですが、さくさんのように楽しんでいただけているなら、嬉しいです。早く平穏な日々が取り戻せることを祈っています。そして、より被災地の方々が楽しめるようなお話をお届けできたらなと思います。 (2016年4月18日 20時) (レス) id: a9e0cca142 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：カレン
| 作成日時：2016年3月17日 9時
