サキュバス (ページ37)

今日:5 hit、昨日:3 hit、合計:9,613 hit

case.8 ページ37

·

清田 side

『よっしゃあ！優勝するぞー！』

「おう！」

オロナミンCで乾杯をして自分たちを鼓舞した

暗い部屋で今までのことを話して思い出に浸って、今朝の喧嘩に二人で笑いながら夜景を眺めた

···

試合を観戦中

Aが居ないな… と思いつつ違うチームに行ってるんだろうなと結論付けてトイレに向かった

遠くの方でパチンッと聞こえて何か分からないまま、トイレに入ると個室に押し込まれるAを発見した

俺が来たから慌てて隠れた感じだが遅い

個室をドンドン蹴って開けるように怒鳴った

「てめぇ！開けろ！ …っ、通報するぞ！」

中々開けなかったが、それを続けるとやっと開けた

顔が見えた瞬間に殴ると一目散に逃げて、後ろから乱れた服を押さえて俯くAが現れた

俺と目が合った瞬間に微笑んだ

……めちゃくちゃ腹が立った

「何してんだよ」

『 …はは、ごめんね』

「叩かれたのか！？」

『ちょっとね…… でも、全然大丈夫！助けてくれて、ありがとね？』

酷いことされたはずなのに、なんで笑ってんだよ

意味分かんねぇよ

大丈夫な訳ねぇだろ

頬だって赤くなって、腕だって目だって…っ

キツいこと言いそうになって会場に足早に戻った

小走りでついてくるAを無視して席に戻れば、隣に座って " なんでそんなに怒ってるの？ "

………は！？

『でも、清田が助けてくれたじゃん』

「お前自身も気を付けろよ！！」

怒鳴ってしまった

それに驚いた牧さんと神さんが止めに入った

牧「どうしたんだよ」

「 Aが危機感無さすぎなんスよ、あんな酷いことされてヘラヘラしてて何なんすか」

牧「守ってくれたんだろ？」

「たまたまッスよ」

牧「たまたまでも、ありがとな」

「自分で守らなきゃこれからだってAが傷付く… あんな顔してんのもう見たくないんっすよ」

牧「あれでも気を付けてるつもりなんだよ」

「どこがッスか？」

牧「清田はAのこと好きだろ？」

「え？」

牧「淫魔(サキュバス) ってのは男を魅了してしまう生き物でな、生きていく為に無意識に誘惑しちまってるんだ……… 酷い目に遭うのなんて、本人が一番嫌に決まってるだろ？」

·