甘い恋と重い愛 (ページ6)

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凪 side

「文化祭、楽しみだね」

「え？」

「 ……付き合ってるんだし、一緒に回る、よね？」

" 付き合ってるんだし "

その言葉に引っ掛かりつつ、Aと回る約束をどうしようかと悶々と考えていた

最近、気付き始めた。

俺はこの子じゃなくてAが好きな事

でも、" 別れ話 " というのは自分からは切り出しにくい

「凪くん」

黙りこくった俺に神妙な面持ちで名前を呼んだ

「 Aちゃんのこと好き？」

「なんで」

「 ……近くで見てたから分かるよ」

俺はすでに傷つけてしまってたんだ

付き合うってことが重要な事とは知らずに受け入れた俺が全部悪いのに……

嫌な話までこの子にさせようとするなんて…

「文化祭だけは… 最後に一緒に回りたい、な… 」

────────文化祭前日

「文化祭、一緒に回れない」

『 ……彼女？』

「うん」

『そう、だよね… 』

「俺！ちゃんと、する、から！」

『何を？』

「 …っ、待ってて」

落ち込むAに気安く決めた俺の選択に後悔が募る

「 A、ごめん」

『 ……分かった』

───────見たくなかった

「凪くん…っ」

泣いてるAを抱きしめてるアイツ

慌てるような彼女に引っ張られてその場を後にしても、脳裏にはあの光景が鮮明に刻み込まれてる

「凪くん！あんな子辞めなよ！」

「あんな子？」

「凪くんのこと好きとか言ってるくせに御影くんと付き合ってるなんて変だよ！あんなの見せつけられてるのに、まだあんな子のこと好きなの！？」

俺が断ったから泣かせたのに

好きって気持ちを受け入れないまま彼女作って傷つけて、今さら自分の気持ちに気づいたからって

………あんな子って何だよ

「私なら凪くんを悲しませない！」

「ごめん、もう一緒に居られない」

「凪くん…っ！」

Aを探して走り回った

やっと気付いたんだ

もし、Aが玲王と付き合ってるんだとしても、俺が傷つくとしても、この気持ちだけはどうしても伝えたくて、ただただ校内を走り回った

そして、謝りたいんだ

泣かせてごめん…って

待たせてごめん…って

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