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凛 side
『 凛! 』
仰々しい顔をして俺の名前を呼んで、大きく息を弾ませて額から流れる汗に急いで来たと分かった
「 っ…何しに来たんだよ 」
喜びを隠して発した
冴と誕生日デートだと浮かれてたくせに、俺の元に駆け付けてくれるなんてな
『 怪我したんでしょ! 大丈夫?! 』
泣きそうになりながら、俺の足を見る
『 こんなに腫れて… 』
「 ただの捻挫だ 」
『 ただのって… 痛いでしょ? 』
Aが俺のことを優先してくれる時なんてこういう時くらいしかない
怪我の功名ってやつか?
氷嚢を代わりに当ててくれる
「 デートは? 」
『 ……また今度にする 』
「 謝んねぇぞ 」
『 当たり前でしょ。 凛だって好きで怪我した訳じゃないのに、どうして謝らなきゃいけないの。 そんなことより安静にしなきゃ駄目だからね! 』
" デート " って単語を出せば少し落ち込んだ
─────せっかくの誕生日にごめんな
そう言ってやれる程の余裕は俺には持ち合わせがない
「 バッグから箱取って 」
『 箱? 』
「 ん、それ 」
『 ……何? 』
「 プレゼント 」
『 え? 何? 』
「 プレゼント! 」
『 ……私、に? 』
驚くAに頷いた
小っ恥ずかしくて顔から火が出そうだ
顔を見られないように背けてると、「 開けていい? 」って少し明るい声で聞かれて、また頷いた
『 綺麗… 』
ネックレス
あげようか迷っていた
それでも、このタイミングを逃せば今年もあげられないと思い、意を決して渡した
『 凛、ありがとう 』
「 うん 」
『 どう? 』
ネックレスを着けたAが目の前に現れて、せっかく落ち着きそうだった心臓が大きく跳ねた
…………綺麗だ
『 ねぇ、どう? 似合ってるでしょ? 』
またそっぽ向いて頷けば、『 もうっ! 』 って少し拗ねた振りをして喜んでるのが伺えた
『 肩貸してあげるから帰ろ? 』
「 あぁ 」
『 うわっ!…っ、重っ! 』
「 お前がチビなだけだ 」
『 凛がデカいだけ 』
胸元に光るネックレスに笑みが溢れる
『 あ、冴 』
「 兄ちゃん… 」
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さとみ(プロフ) - なっとう。さん» う、うわぁ… 嬉しすぎますぅ😂💕 ありがとうございます! (6月25日 1時) (レス) id: 562f4fc689 (このIDを非表示/違反報告)
なっとう。(プロフ) - す、好きです〜!めちゃめちゃ面白いし、本当に天才!応援してます! (6月23日 22時) (レス) id: f9924e37b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さとみ | 作成日時:2023年3月9日 23時