分からない ページ5
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店の外に出た時には 、もう空はインクを垂らしたように真っ黒だった 。頼りなく輝く星が点々と浮かんでいる 。
「 いやぁ 、ノリと勢いで行けるかな〜と思ってんけどなぁ 。」
夜だと言っても緩く吹く風は生ぬるく 、半袖から伸びる腕を優しく撫でては吹き止んで 、体温を少しずつ上げていく 。
「 なんか急に言われると頭回らんと返事しちゃう時ない ？ そういう感じでうんって言わせたかってん 、あはは 。」
次々に口から出てくる言葉たちをそのまま素直に出し続けて 、時折笑って見せたりする 。だけどそれを何度繰り返そうと 、謙杜は何も言わなかった 。
「 んーでもやっぱりもうちょっと慎重にいくべきやったな 、りゅちぇにも言われててん 、脈ゼロやでって 。」
ただ黙って私の隣を歩いていた 。端正な顔を少しも崩さないで 、ちらっと私の顔を見てまた前に向き直って 。
「 ゼロは言いすぎやろ流石に１００中２くらいは脈あるんちゃうんて思ってたけど言う通りやん 、そういう風に見たこと無いってゼロてことやん 。なあ ？ 」
謙 「 … 。」
ようやく駅に着いた私たちは 、そういえば駅まで一緒に来るのは初めてだったということに今更気がつく 。謙杜 、何線なんやろ 。
「 妹みたいなもんってことやんな 、それ 。」
自分の意思思考とはまるで関係なくその言葉が口から漏れた時 、世界が一瞬止まったように感じた 。私が今どんな顔をしているか分からないけど 、謙杜ははっと目を見開いては顔を歪めている 。その表情をするなら私の方なのに 。
謙 「 … 、っ 、なあ 、」
「 今日は夜ご飯付き合ってくれてありがとう ！ 私１番線やから 、あっ次の電車１分後やん 、もう行くな ！ 」
何か言おうとした謙杜の声を遮って 、自分勝手に踵を返した 。
謙 「 待ってや 、… なあって 、！ 」
呼び止める声を無視してホームの階段の方へと向かっていると 、右手首を何かが掴んで動きを止める 。
「 … 、え 、謙杜 … 。」
私の体温よりも温かく 、私の手よりも大きいそれは 、謙杜の右手だった 。振り返ってこれが謙杜のものだと気がついた私は 、驚いて謙杜の顔に視線をやる 。
謙 「 言ったやろ 、無理して笑わんでいいって 。」
まだその表情は苦しそうで 、ますます謙杜のことがよく分からない 。
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酢飯(プロフ) - 壁さん» コメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです（；；）ここで一気に急展開させたかったのでそう思っていただけると書き甲斐があります！更新頑張りますのでこれからもよろしくお願いします！！ (2023年4月8日 0時) (
レス) id: d49cdf108d (このIDを非表示/違反報告)
壁 - すごい面白くてずっと満面の笑みで読んでましたがまさかまさかの展開に興奮が冷めません！！めちゃめちゃ好きなお話です！！応援してます！ (2023年4月7日 21時) (レス) @page21 id: ef99e32b7f (このIDを非表示/違反報告)
酢飯(プロフ) - みかんさん» コメントありがとうございます！更新頻度が悪くて本当に申し訳ないです（ ; ; ）完結まで頑張りますのでよろしくお願いします！！ (2023年2月13日 19時) (レス) id: bdf2bf0792 (このIDを非表示/違反報告)
酢飯(プロフ) - ユキさん» コメントありがとうございます！読んでくださる方のおかげです本当にありがとうございます！！完結まで見守っていただけるとうれしいです〜ありがとうございます（ ; ; ） (2023年2月13日 19時) (レス) id: bdf2bf0792 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - 移行おめでとうございます！お話の続きが見れて嬉しいです！😭💓これからも楽しみにしてます！ (2023年2月6日 1時) (レス) @page6 id: d0215ee9fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：酢飯
| 作成日時：2023年1月25日 11時
