翼を、ひろげて

あなただけ JS#3 request ページ19

マネージャーとして所属しているジェイテクトの練習が終わった帰り道。
駅を挟んで反対側にある家へ帰ろうとしたら、


「お姉さん1人？」
「時間あるでしょ？」
「俺らと遊ぼうよ」

3人の男に囲まれた。



『結構です。』
そう言って距離を取ろうとすると、


「言うこと聞けないのかよ」


腕を掴まれてしまった。



何も言えなくなった私を、
「何も言わないなら早く来いよ」
と言って引っ張って連れて行こうとする男達に
恐怖と諦めを感じていると、







伏「その子嫌がってますよね？離してあげてください。」


大きな影が割って入った。
口調こそ穏やかだけど、その体格とどこからともなく感じられる怒気に気圧されて男達は逃げて行った。







『伏見さん、なんで…？』
伏「買い物しようと思って歩いてたらAちゃんがナンパされてるのが見えて。怪我はない？」
『大丈夫です…』
伏「それなら良かったけど…僕がもっと早く来てあげられたらこんな思いしなくて済んだのに。ごめんね…」
『伏見さん、の、せいじゃ、ないです、』


安心したせいか、涙が止まらない。




伏「怖かったね。」

そう言って頭を撫でる伏見さん。
…その優しさに甘えてもいいですか？


伏「っ、」
『…ごめんなさい、今だけ、』

抱き着かせてください。



私のいきなりの行動に驚きながらも撫でてくれる手は止めない。






どうにか嗚咽は止まった。
ふと我に返って、



『…ごめんなさい、迷惑ですよね』

離れようとしたら、



伏「他の子にはそう思うかもしれないけど、Aちゃんは特別だから。」






…え？
見上げた私に伏見さんは続ける。

伏「僕が守りたいのも、笑顔でいて欲しいって思うのも、Aちゃんだけだよ。」






突然の事に感情が忙しくなって、また涙が溢れてきた。


今度は少し屈んで、私の涙を指で拭いながら伏見さんは言った。



伏「弱みにつけ込むみたいにごめんね。僕、Aちゃんが好きなんだ。Aちゃんの事、僕に守らせてください。」









その言葉に大きく頷いたあの日から、
伏見さん、もとい大和さんは、
どんな時でも私の事を守り続けてくれている。








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