藍と一未の短編集

君からして2（志摩） ページ25

Aside





大丈夫、ただ口と口をくっつけるだけ。

それに一未は目を閉じてる。


ふぅーっと深く息を吐いて、一未の肩に手をかける。

くっつけるだけ、くっつけるだけ。


見られてなければ恥ずかしくない、はず。


そう自分に言い聞かせてゆっくりと顔を近づける。


『…っ』


やっぱり恥ずかしい。

羞恥心が強くなり、耐えられなくなった私は目を瞑った。


『いたっ』


目を瞑ったせいでお互いの鼻がぶつかってしまった。


志「ふはっ、何してんだよ。下手くそ笑」

『だって自分からなんてした事ないもん』

志「ま、可愛かったから良しとするか」


頬に添えられた手に引き寄せられて口付けられる。

手慣れた動作で行われたキスに少しムカついた。

これが経験値の差か。

でも、そんな事どうでもよく思えてしまうほど一未からのキスが気持ちいい。


志「下手ならこれからたくさん、練習すればいい話だからな。教え甲斐があるわ」

『え、やだやだ！恥ずかしくて死んじゃう！』

志「なら、このままもっと恥ずかしい事するか？」


怪しい笑みを浮かべた一未は私の腰を両手で抑え込む。

腰を揺する動作はまるで最中を思わせるそれで、恥ずかしくなって顔に熱が集まる。


『っん、やだ…！もぉ、下ろしてよっ』

志「…無理」

『何で！？』

志「可愛い顔して煽ったお前が悪い」

『いやいやいや！まっっったく煽ってませんけど！？』


何を言い出すわけこの人！？

いつ誰がそんな事したよ！


志「練習はまた今度でいいわ。とりあえず抱かせろ」

『横暴だー！！』




2020/3/29

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