藍と一未の短編集

愛してるゲーム2（志摩） ページ19

Aside





志「お前弱すぎだろ。勝負になんないな」

『もういーよ。一未には勝てそうにないしもうやめる』


ぷーっと頬を膨らませて拗ねてクッションを抱き締めてそっぽを向く。


志「さて、何をしてもらうかな」

『…え、何の話ですかー？』

志「お前言ったろ。負けたら何でも言うこと聞くって」

『え〜？そんな事言いましたっけ〜？』


証拠はないし惚けてればそのうち終わるでしょ。

高を括っていると一未が怪しげな笑みを浮かべた。

何その笑顔、怖っ。


志「てってれ〜」


棒読みでそう言う一未の手にはボイスレコーダーが握られている。

ピッと一未の指が再生ボタンを押す。


《もし今度負けたら何でも言うこと聞くから！ね？お願い！》


聞こえた声はさっきまで調子に乗っていた私の声で、過去の自分を殴りたくなった。


志「悪いが既に言質は取ってある。無駄な抵抗はやめろ」

『犯人扱いやめてもらえませんか志摩刑事』

志「職業病でつい」

『ついじゃない！』


刑事モードの一未もカッコいいけど、今見たいのは一未の照れた顔です。


志「とりあえず」

『きゃっ』


腕を引かれてソファーに押し倒される。


志「俺の気が済むまでキスな」

『…あの、それは具体的にどれくらい…？』

志「んー…少なくとも30分はするかな」

『さ、30分！？キスだけで！？』


そんなしたら唇ふやける！

明日仕事なんですけど！？


志「少なくともな。その後は〜」

『え、まだ何かするの？』

志「一つだけなんて言ってないだろ」

『そんなぁ！』


一枚上手な一未に勝負を仕掛けたのがそもそも間違いだった。



志「愛してる」

『…まだゲームの続き？』

志「ばーか、ゲームは終わりだよ。俺の気持ちに決まってんだろ。…お前は？」

『私も。この世界でいっちばん好き』

志「っ、そ、そうか…」

『え、これで照れるの？』


口元に手を当てて隠すようにしている一未の顔がほんのりと赤い。

愛してるより好きの方がグッとくるのかな。

私ばっかり好きみたいでちょっとムカつくとか思ったけど、そんな事なかったみたい。




降ってきた口づけに積極的に応えたら、痛い目にあって次の日大変だった。



2021/1/28

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