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★ ページ10
A「まこー？」
私はビールのジョッキを傾けながら慎を小突いた。
慎と北人とは飲みに行こうと言ったもののどうして壱馬までいるのだ。
杏彩「まあまあ笑楽しく飲もうよ、A」
A「はあ。」
何度目かしれない溜息。
ビールのジョッキ越しに壱馬のことをそっと盗み見る。
パッチリとした綺麗な幅広の二重、濃くて長い睫毛、白い肌に斜線を刻むような形の整った眉、
鼻筋の通った綺麗な鼻、赤く血色の良い艶やかな唇。
誰がどう見てもイケメン以外の表現が見当たらない。
初めて唇を合わせた時は美しいものを汚してしまうような気がして怖かったなあと苦笑する。
ビールの味がやけにほろ苦く感じ大好きな酒が苦く感じるなんて未練タラタラなんだなと我ながら思う。
でも3年前のあの状況で紗英ちゃんに脅されてあの写真を撮ったなんて言えるわけがなく、すっかり悪者に仕立てげられてしまった私とスーパースターの壱馬とが別れたのは仕方がなかったことだと割り切ることにしている。
だからこそアメリカからオファーがあった時壱馬への気持ちを断ち切って夢を掴むことを選んだのだし向こうで恋人ができなかったわけでもない。
それでも壱馬だけには信じていて欲しかったと思うのは私のわがままだろうか。
でも今の壱馬は紗英ちゃんと付き合っている。
ファンにはもちろん非公開だけれど3年も経った今でも続いているということは壱馬の大切な人はもう私じゃなくて紗英ちゃんてことなんだよね？
でもごめん壱馬。
もう少しだけ片想いしていてもいいですか？
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作者名：高嶺キュン; | 作成日時：2020年3月4日 20時
