our story (ページ32)

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思わずEGの楽屋を飛び出した。

それまでにもおかしいて思ってことは何回もあった。

お揃いのスマホケース、仕事だと言われたはずの日の映画の半券、一緒に行った覚えのない某テーマパークのカップルチケット。

でも気づかないふりをしてた。

自分が彼の”浮気相手”だってことに。

何も信じられなくなった。

彼が私に向けていた笑顔も言葉も行為も全て彼女にも向けられていたのだと思うと耐えられなかった。

でも”彼女”は楓ちゃん。

私は彼の暇つぶし。

どうすれば良かったのかわからなかった。

辛くて彼に会うのもやめ、浮気だと知ったのも言わなかった。

たまに送られてくるLINEの好きという文章が嬉しかったはずなのに心が痛くなる。

やめてよ。涼太が好きなのは私じゃないんでしょ？

ねえどうしてこんなことしたの？

そんな時に現れたのが同輩グループのセンターボーカル、川村壱馬。

どうしたん？て優しい笑顔で話を聞いてくれて、夢にまっすぐで、努力家な彼に心開くのにそれほど時間はかからなかった。

涼太の話を始めてしてもいいって思えた。

絶対に引かれると思ったのに浮気なんて軽蔑されると思ったのに辛かったよなって頭を撫でてくれた。

そんな彼の優しさが傷ついた心に沁みて気がつけば彼の腕の中で涙をこぼしていた。

でもそこを涼太に見られていてまるで私が浮気をしたかのように言われ恋に臆病になった。

壱馬は先輩の涼太にも物怖じせずにおかしいんじゃないんですかって言ってくれて。

涼太は何も言わなかったけどそれから連絡が来ることもなくなり楓ちゃんと一緒にいるところを多くみるようになった。

ああ、私捨てられたんだなあって思ったけど不思議と辛くなかった。

壱馬がそばにいてくれたから。

人を信じなくなってしまった私に根気強く話しかけてまっすぐに好きだと伝えてくれる壱馬にだんだんと惹かれていった。

結局、Aを絶対幸せにする。泣かせない。愛してる。という彼の告白に涙が溢れて気がつけば私も好きと答えていた。

だめだなあ、私全然壱馬の事好きじゃん。

未練タラタラ。

でも忘れないとだよね。

ごめんなさい慎、あなたを利用させてください。