148一旦の決着 ページ6
明日退院だ。あの日以来皆仕事が立て込んで来れないけれど退院の日には行くって言っていた。親が来るから平気なんだけどな。
あれから美陽ちゃんの事務所の偉い人がやってきて、申し訳ないが大人のガッチさんに付き添って貰って話を進めた。
今回の件の示談金と入院費、これからの通院費合わせてのそれなりの額の提示を条件に、今回の件はネットニュース通りにして警察に被害届けは出さない方向で進めて欲しい、らしい。
｢それは少し話が良すぎませんか｣
｢百も承知です。しかし、今美陽も精神的に……｣
｢それを返す様ですがナマエもまた精神的苦痛を受けておりますがそれはお解りでしょうか｣
｢仰る通りでございます｣
ガッチさんが淡々と、かつ、相手に大人の対応をしている姿は少し恐怖を感じた。本来なら私が全部言わないといけない事なのに、きっと一人じゃ何も返せていなかったかもしれない。幾ら相手方に女性のスタッフが居たとしてもだ。中々知らない偉い人と話すのは、厳しい。
｢ナマエちゃん、言いたい事あるなら今ちゃんと言うんだよ｣
優しいガッチさんの声。結局の所私が決めなくてはないけないのもちゃんと解ってはいる。
｢……示談、お受けします｣
｢ナマエちゃん｣
｢その代わり、金輪際美陽さん含め御社が関わる案件はお受け出来ません。接触も、拒否します｣
後は弁護士を通して下さい。それ以上は何も言えなかった。
それからは全部弁護士を通して話を進める事になって事務所の人達は出て行った。嫌な空気を残して。
｢よく頑張ったねAちゃん｣
｢ありがとう。ガッチさんのお陰でしかないよぉ｣
私が示談の選択をした時、ガッチさんの表情が少し険しくなったのも感じてる。解ってる。本来ならちゃんと警察にお任せした方がいいってことも。人が良すぎるかもしれないが、美陽ちゃんをとことん責めたい訳では無いんだ。短い期間でも、友達だったから。
｢後で口座教えてね、仕事料振込むから｣
｢要らないよそんなの｣
｢駄目だよ。ちゃんと受け取って｣
｢それよりこれ何だろうね？開けてみない？｣
話を逸らすのがお上手なパパで困る。これ、とは事務所の人が持ってきたお見舞いの品。
｢いいメロンだ、多分｣
｢凄いね、ドラマみたい｣
多分いいメロン。それを一人じゃ食べれないからと帰り際ガッチさんに無理矢理持たせれば、家族で美味しそうに食べてる写真が送られてきて、思わず笑みが零れたお話。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 117人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ごま(プロフ) - 続きありがとうございます！本当に本当に嬉しいです。。 (2022年4月10日 3時) (
レス) @page17 id: 9c0e141a1e (このIDを非表示/違反報告)
涼風(プロフ) - 続き気になります！いつまでも更新楽しみに待ってます！ (2021年10月8日 10時) (レス) @page15 id: d41656e1e9 (このIDを非表示/違反報告)
みゅ - ストーリーがすごく面白くて泣きそうにもなりますし、大好きです。続きが気になります………ハッピーエンドが見たいです……… (2021年9月21日 22時) (レス) @page15 id: 60841e2cf5 (このIDを非表示/違反報告)
うりゅう(プロフ) - 初めてレトさんの夢小説みたの多崎さんで良かったです……のんびり更新待ってます！！！！！ (2020年11月4日 0時) (レス) id: 7a0e32a41e (このIDを非表示/違反報告)
ayaka(プロフ) - 占ツク数ヶ月開かなくなって久しぶりに見たら多崎さんの更新があってめちゃめちゃ嬉しかったです！ありがとうございます！ (2020年10月24日 21時) (レス) id: a3bb4a6c92 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なかもと | 作成日時：2020年1月17日 2時
