94スピードダウン、しかし確実に ページ49
ご飯食べ終わって、楽しかってんけど、何やろう。昼の件と言いさっきのネットの事と言い俺モヤモヤしっぱなしでちょっと凹んでる。凹む？何で？何を凹むことがあるんや。わからん。時間は十時半前、後は帰るだけなんやけど、まだ帰りたくないなぁ。
「Aちゃん。まだ時間大丈夫？」
「うん」
「もうちょっとどっか行かん？」
「良いよ！」
何処に行こうかねぇって続ける声はちょっと掠れとった。体調悪そうで無理してそうなのも何処となくは解ってるねんけど、つい、Aちゃんの優しさに甘えてしまう。俺のお願いでも聞いてくれるねんもんな。自分本位やなぁ今の俺。
「お腹いっぱいだしカフェって感じもしないし。散歩とかする？」
「Aちゃん散歩好きやんね」
「普段全然動かなしから動ける時に動きたいんだ」
宛もなく歩き出して、入りたいお店があったらそこに入っちゃおう、夜遊びしちゃおうってわろてる。……聞いても良いかな、キヨくんの事。何も無いよって振りしとった方が良いかな。前までの俺の勢いは何やったんやろ。急に何も出来ひんくなって、あの時はただAちゃんを助けたい一心やったからなんかな。今の俺凄い宙ぶらりん。
実況者やなかったら今直ぐ好きですとか告白してた。これは本当。好きなんよ。別れ話あったあの日、俺に会った瞬間飛びついてきて号泣してて、泣かせたくないし幸せにしてあげたいって思った事。今までキヨくんと仲良かったの見てても何とも思ってへんだのに、今見たら、何か、心臓がギュってなる事。ちょっとでも一緒の時間を過ごしたいって思う事。これが恋とかや無いなら一体何なんか誰か教えてくれん？
「都会でもポツポツ星見えるんだね」
「わ、ほんまやな」
あの時、あの日の公園でキヨくんから邪魔入らんかったら言いたかった事はデートのお誘いやけど。まぁ、結局最後まで邪魔入ったわな。どうしよう、今な気もするけど。今好きって言うべきな気もするんやけど、イベント終わるまで待った方が……オッケー貰えるかも解らんし。
「レトさん、話があるの」
「あ、はい」
この流れでこれってまさか告白！？って思うよな。
「案件の依頼来たじゃん。あれ受けようか」
「おっけー」
当たり前に違ってんけどな。仕事の話やったわ。
「俺からも話していい？」
「はい」
「近々俺と正式にデートしやん？」
全く違う話してもうたけど。顔真っ赤にしていいよって反則ちゃうか。またギュってなってんけど心臓。
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作者名：なかもと | 作成日時：2019年10月10日 23時
