93ただ聞いてほしかっただけ ページ48
驚いたよね。本当にキヨもAちゃんも燃えやすいって言うかネタにされやすいって言うか弄られ易いって言うか。しかもまたまた吃驚、俺も偶々家族のお土産に買ってたものがキヨたちのキーホルダーと同じだったなんて。良かったと言うか何というか。お節介おじさんしちゃったかもしれない。ここまでしてあげる義理は無いんだろうけど。Aちゃんが絡むと放っとけないんだよね。
『もしもしガッチさん今大丈夫？』
「Aちゃーん打ち合わせお疲れ」
『投稿見たんだって言うか見てたからなんだよね。本当にありがとうね』
「先手打っといて良いもんでしょあれは」
賑やかな電話越しから聞こえるのはAちゃんの少し疲れてそうな声。そう言えば最近プライベートマッチでもゲーム一緒にしなくなっちゃったなって思い出したのと、声色から感じられるそこそこ疲れてる様に感じる音。忙しくなってきてるのか、無理矢理忙しくしてるのか。ちょっと心配だな。
『今レトさんとご飯食べに来てるの』
「そうなんだ」
『今度ガッチさんもご飯行こうね』
「お！いいねぇ、行こう行こう」
『……お礼言いたかっただけなんだけど』
「うん」
『……あのさ、ちょっと仕事の相談しても良い？』
「Aちゃんからそんな相談って珍しいね」
聞くと。レトさんとうっしーと三人での案件の依頼が来た。でも、三人だけじゃなくて他にも女優さんが居るんだって。簡潔に言うと女優さんヨイショな案件っぽい。ほう、それは面倒な。
『その女優さんさ、私知ってる気がするんだよ』
「へー」
『元カレが何か言ってた気がする』
「うん」
『会っちゃ駄目な気もしてるんだよね。上手く言えないんだけど』
「第六感的なやつ？」
『そう』
核心はない。スピリチュアルな考えだけで案件のお断りを入れるのもどうかと思って、と。私が断ればレトさんもうっしーも断るんじゃないかと言う過信。大体の案件は受けてるのAちゃんがそんな事相談してくるなんて本当に珍しいから相当悩んでの事なんだろうね。
「嫌な感じするなら断っても良いと思うよ」
『うん』
「大丈夫そうなら受けた方が良いと思うし、って無責任すぎる言葉だけど」
『ううん、ちょっとモヤモヤ聞いて欲しかったから大丈夫』
それなら良いんだけどね。一言二言話てレトさんを待たせてるからって切られた電話。この選択が正しかったのか正直解らないけれど、またお節介おじさん発動しちゃうかもしれない。
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作者名：なかもと | 作成日時：2019年10月10日 23時
