89心のザラザラ ページ44
最近よく使ってるカフェでAちゃんを待つ。二人で打ち合わせする時は大体ここ。メインはAちゃんの登録者数のお祝いやから二人で決めて、決まった事を他のメンバーに伝えつつあれやそれやを決めていってるんやけど、結構おもろくなってきたんちゃうかな。
今回は俺らのグッズ案の話し合いやねんけど、先に二人で大まかに打ち合わせしてその後大人の人達が待ってる会議室へ行くって言うのが流れ。
お待たせーってひょこひょこ来たAちゃんは顔真っ白で如何にも具合悪そうな感じやし、まだ昼間はちょっと暑いのに首元が隠れるタイプの服来て暑いねぇってそらそんな格好暑いやろうに。
｢顔色悪すぎやけど体調悪い？大丈夫？｣
｢ごめん、ただの二日酔い。気にしないで……｣
｢何しとるん……しっかりして大人……｣
流石にな、流石に。今日は俺とだけの打ち合わせちゃう日やから。ご最もですってめっちゃ反省してるからこれ以上は言わんけども。
それより何より。痒いって首元搔いてる時ちょっと気になるもの発見してしもてんけど、それは、虫刺されなんか。それとも。
｢で。今日はグッズだっけ？｣
｢あー……そうそう。見て欲しいねんけどさ｣
多分触れへん方が良い。Aちゃんの為でもあるし俺の為でもあるし。何より大人としてスルーするのが一番ええ事やと思う。
もう彼氏出来たんかな。こんな短期間で？それとも遊んでるんかな。俺が兎や角言う筋合いはないけど。まさか、Aちゃんに限ってそんな事してほしくないっていうのは俺の願望。
｢……さん、レトさん、聞いてる？｣
｢あ、ごめん。トリップしてたわ｣
｢レトさんこそ大丈夫？具合悪い？｣
具合、悪いかもしれへん。体調って言うか、心がザラザラする。まさかキヨくんやないよな。
『レトさんとA応援するわって言葉に嘘はねぇけど。俺もどうこうするわ』
あの時の言葉がフラッシュバックされる。もしキヨくんが相当なやり手であんな事やこんな事に事を進めてたら、それは、よろしくないな。
｢大丈夫。ちょっと睡眠時間足りてなかったかもしれんだけ｣
｢そっかそっか、あんま人の事言えないけど無理しないでね｣
それからご飯食べていい？ってAちゃんが和風スープパスタを頼んでた。それ食べたからか顔色も戻っていつものAちゃんが目の前におる。
これはあかんって急に事を進めたくなった。でも、イベントまではって実況者としての俺とのせめぎあいも始まってしもた。
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作者名：なかもと | 作成日時：2019年10月10日 23時
