88きっとこの人はいい人 ページ43
この部屋はフジくんの部屋らしい。起きてお水を頂いてお手伝いを借りて鏡を見て驚いた。何だこの赤い跡は。さっきの状況からして原因はキヨしかいない。
問い詰めても私もキヨも昨日の夜の記憶がないから自業自得と言うか、寧ろキヨ相手の時でよかったねって話で、変な男と飲んでる時じゃなくてよかったけれどもさ、記憶失くすまで飲むのやめようよ私……。
｢一回家帰らなきゃだから私もう出るよ｣
｢駅まで送ってくよ。キヨどうする？｣
｢風呂入りてぇ｣
｢自由かよ。じゃあ俺Aちゃん送ってくるから｣
｢おー｣
フジくんにめちゃくちゃお礼言って部屋を出る。こんな形でお邪魔してしまって申し訳なさの極みな事を伝えても昨日楽しそうだったからいいよってさ。菩薩かよフジくん。昨日初めて会ったのにいい人すぎかよ。
｢昨日私変な事言ってなかった？｣
｢変な事じゃないけど、Aちゃんずっとレトさんの事が好きだって言ってた｣
｢殺してくれ｣
｢それにキヨが不機嫌になって俺がお手伝い行って帰って来たら熱い接吻してたよ｣
｢もういっそ殺してくれ｣
｢よかったね個室の飲み屋さんで｣
｢そう言うことじゃない｣
｢キヨとAちゃんって大人の関係築いてる？｣
｢全力で否定します｣
あかん。割としんどい感じの飲みだったぽい。穴があるなら入りたい。見られていたのがフジくんだったから良かったと言っていいのか解らないけど、変に茶化しても来ないし叱るとかもなく。それだけが唯一の救いでしかない。
｢あんなキヨ初めて見てさ。本当にAちゃんの事好きなんだなって思ったんだよ。やってる事滅茶苦茶だけど、あんなに一人の女の子に優しくしてるの初めて見たって言うか｣
｢そうなんだね｣
｢もしAちゃんが本当にキヨの事好きなら応えてあげて欲しいくらい。まあ、レトさんの事好きっぽいけど｣
｢それは……｣
｢キヨかレトさんで迷ってる的な？｣
｢そう言うのじゃないんだけどね、恋愛は当分いいかなぁって｣
｢あーね｣
フジくんも私の失恋の件は知ってる。少し時間は経ったけど、それを気にして昨日も気晴らしにってキヨと私を誘ってくれたらしいし。あとは、純粋にキヨが想いを寄せる私と言う人間がどんな奴か見たかったんだと思う。
それ以上何も言ってこない代わりに顔色悪いから気を付けて頑張って来てねって駅まで送ってくれたフジくんは最後までいい人だった。変な夢を見たせいでレトさんに会うのも複雑な心境。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 65人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「実況者」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なかもと | 作成日時：2019年10月10日 23時
