80タバコミュニケーション ページ33
キヨが海見えるよーって言うから見てたら多分キヨのファンらしき男の子たちの声が聞こえて私は必死に空気になる努力をしていた。とても、困った状況だ。しかし私は解る、多分悪い人達ではない。だって私たちの事をさん付けで呼んでいるから。
｢あの、昨日の事なんですけど｣
｢馬鹿やろめろよ｣
｢だって……｣
｢昨日の事どう思いました｣
｢俺たち、自分から言うのも変ですけどキヨさんの古参ファンなんで、昔の事知ってるから何今更ナマエさんとの件で燃えてんだろって思いました｣
｢僕も｣
｢ナマエさんと仲良いの動画見て知ってたし、寧ろまた一緒に実況撮るんだって嬉しかったです。しかもコイツ、レトさんよりナマエさんのファンで！｣
｢やめろよ！！｣
｢ユウトって人と付き合った事知ってめちゃくちゃショック受けてたんすよ｣
｢言うなって｣
どうやら一人は私のファンらしい。ありがとうね。めちゃくちゃ近くに私居るよ。しかし、昨日の今日で私のファンなら何を言うだろうか。
｢昨日の事君たち知ってる？｣
｢はい。配信途中から見てました。何ですかユウトって奴、僕正直ナマエちゃんには悪いけど別れてくれてよかったって思ってます｣
｢ほー｣
｢アイツと付き合ってから個人チャンネル消しちゃったし、キヨさんたちとの動画も消しちゃったし、何か、僕の所有物のナマエって見せられてる気がして嫌だったんで｣
｢今のナマエの事どう思ってます？｣
｢叩く人も今は沢山居るけど僕はそれでも応援しますよ、憧れって言ってたレトさんとのコラボも叶えて頑張ってるの知ってます！何より僕は大好きですから｣
｢……だってよ、ナマエ｣
｢何でバラすのさ｣
そっちを向けばキヨみたいな格好をしてる子と、少し雰囲気が中性的な子が立っていて、中性的な子が私を見た瞬間顔を真っ赤にしてチャラい子の背中に隠れてて、解りやすい、この子、私のファンだ。ヤバい、ご本人登場みたいな風になってる。
｢ほほほほほんもの｣
｢いつも応援ありがとうございます｣
｢あ、あの！お会い出来たら聞きたかった事あるんですけど！いいですか！｣
｢何ですか？｣
｢……吸ってる煙草の銘柄教えて下さい……｣
｢コイツナマエさんが喫煙者って知ってから吸い始めたんすよ！｣
｢悪い影響与えちゃった。吸ってるのこれだよ｣
やっぱこれだよってめちゃくちゃ喜んでる。どうやら特定はファンの間でされてたみたい。特定か。急に色々怖くなってきた。
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作者名：なかもと | 作成日時：2019年10月10日 23時
