77推しへの貢物 ページ30
イルカショーの会場はそこそこ広くて、真ん中ら辺の水が掛からなそうな席を取っといてくれた四人と合流する。なんなん、うっしーとガッチさんもう飲んでるやん。ここはアルコール売ってていいねって何言うてんねん。
｢はい、ポテト｣
｢ありがとうキヨ｣
俺の隣に来いと言わんばかりのキヨくん。せやから、キヨくん、Aちゃん、俺、なな子さん、うっしー、ガッチさんの並びで仲良く横一列で見る事が出来ましたとさ。
｢そういやAに良いもん買ったぞ｣
｢何なにうっしー｣
｢クラゲの良くわかんないフィギュア｣
｢チョイス神かよ！？うっしーありがとう！｣
｢パパからはクラゲのステンドグラスっぽい栞｣
｢栞欲しかったの！ガッチさんありがと！｣
｢私はね、クラゲの写真集｣
｢こんなの売ってたんだ……感動……ありがとうなな子ー！｣
｢俺からそのポテト。あとコーラのデブセット｣
｢キヨもありがとう｣
なんなん、みんなしてAちゃんに貢ぎ物が献上されとる。うわーい！ってほんまに言葉に出して喜ぶ人とか初めて見てんけどAちゃんはうわーい！ってほんまに嬉しそうに喜んでた。SNSにあげたい、でも今は無理だ……って直ぐに落ち込んでて、膝にそれらと食べ掛けのキヨくんからのポテトを乗せて写真いっぱい撮ってた。
｢あれ？レトルト氏はないんでござるかー？｣
｢レトルト冷てえ男だな｣
｢ガッカリです｣
｢今から追いポテト買ってこれば？｣
みんなめっちゃ酷い事言うやん。は？俺が冷たい男やと？このレトルト様も甘く見られたもんやな。
｢アホか。ちゃんとありますよ、はいどうぞ｣
｢これ｣
｢ごめんやけど姪っ子の話は嘘やねん。見てよ｣
紙袋の隙間から見えたそれを見たんやろな、勢いよく顔こっち向けてレトさんー！！なんて、嬉しいんか泣くんかどっちかにしなやって顔して、紙袋から出したんはさっきAちゃんが欲しそうに見てたもふもふのクラゲのぬいぐるみ。
ギュッてしながらありがとうってめっちゃ喜んでくれたAちゃんを四人は写真連写で撮りまくって｢負けた｣って声揃えてる。はい、俺の優勝。
｢レトルト、それはずるい｣
｢俺でも悩んだのにレトさんずるい｣
｢私も本命はそれだと思ってました、レトルトさんずるい｣
｢かっこつけ野郎｣
各々からの負け惜しみの言葉を受けて俺も鼻高々。ぬいぐるみをギュッてしたAちゃんが、みんな寄って！ってインカメで写真。案の定みんな変顔しやった。
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作者名：なかもと | 作成日時：2019年10月10日 23時
