あんたのハートを射止めてやんよ【rtrt】

38影に隠れて一つの約束 ページ39

タクシーでぐっすり寝てもうたわ。ほんまに気でも失ったんちゃうかって位よく寝れたし、起こされたら俺のマンションやし何かガッチさんはニコニコしとるしキヨくんはムスッとしとるしほんま何があったんって感じ。

先に俺らの方が出たのにAちゃんとうっしーの方が先に着いてたっぽくてコンビニ行ってるって連絡あったから、部屋行って準備しときましょか。


実況も撮り終わって時計を見れば三時前。帰んの面倒ってガッチさんとうっしーは床に寝だしてるし。実況しながらお酒飲むからやでほんま。

キヨくんも帰るつもりないっぽいけどちょっと仕事って珍しく真面目モードやん。


「ベランダで良かったら煙草吸ってもええからね」

「ありがとうございます」


Aちゃんはあと一時間過ぎにある始発で帰るって言ってる。タクシーとは言え流石にこんな時間に帰らすのも心配やし、始発と言わんでもせめて朝が来るまでゆっくりしてったらええよ。

ペコペコしながらベランダに出ていくAちゃん見て、うち灰皿ないやんって慌ててたらキヨくんにアルミホイルで灰皿作ってやればだって。よく知ってるね非喫煙者なのに。


「携帯灰皿忘れて俺ん家来た時、アイツよく作ってたぞ」


その一言にちょっとムッとしてもうたけど、アルミホイル丸ごと持ってベランダに向かう。Aちゃん、よくキヨくん家行ってんのか。行ってんかの過去系やろうけど。


「流石に夜は寒いな」

「どうしたんですかアルミホイルなんか持って」

「灰皿の代わりになるかと思って」

「実はちゃんと携帯灰皿持ってきてるんです。でもお心遣いありがとうございます」

「外の空気吸いたいからちょっとお邪魔させてもらいますよっと」


ちょっとした窓の段差に腰掛けて煙草吸ってるAちゃんの隣にシレッと座る。煙草が短くなっていってるの見ながらほんまにたわいない話をしてクスクス笑い合えてるのがなんか心地良く感じてる。


「寒くない？」

「ちょっと寒いですね」

「俺ので良かったら着る？」


羽織ってたパーカーを差し出せばやったー！って肩に掛けるAちゃんはちょっと幼く見えて可愛いなって。


「こう言うの良いですね」

「ほんまにな。何て言ってええかわからんけどええよね」

「今日楽しかったです。とっても」

「今度さ、灰皿買っとくからまた遊びに来てよ。勿論やましい気持ちはないから」


口実なんか幾らでも作ればいい。Aちゃんともうちょっと長く過ごしたい俺の我儘。

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