あんたのハートを射止めてやんよ【rtrt】

29同時並行の二つの線は ページ30

Aちゃんがお花摘みに行ってから必然と男同士の会話に話が弾む、と思ってたはいたけど違うみたい。

キヨくんからAには黙ってて欲しいと枕詞から始められた言葉に俺はさっきの続きなんやなぁって烏龍茶を飲んだ。


「こーすけからリークあったんだけどよ、これ」


そこには荒い画質に写る、まだあどけない顔の少女って言葉が似合う女の子と……ユウトくん。

場所的に俺はあんま好きくない方の歓楽街っぽい。断定は出来んけど、この奥の方に行ったら確かホテル街がある場所、やと思う。


「こーすけが打ち合わせの後飲みに行った時ここに居たんだとよ」

「やる事やってんねぇ」

「二人はこのあとホテル街の方へ歩いてったって。実際ホテル行ったどうかはわかんねぇけど」

「でも見るからに仲良さげな写真だよね」


ただの友達ってやつならこの写真の様に腕を組んで仲良く歩いてはいないだろう。酔っ払ったらノリであるかもしれんけど、所謂普通では考えられん事やと思う。

ましてや、なんの関係もない人間同士ならこんな事になる事はまずない。

ユウトくん、浮気しとるんやろか。この写真が真実なら俺は浮気してるように見えるけど。


「Aちゃんは……勿論この事知らないよね」

「多分」

「キヨくんはどうしたいん」

「……」

「俺らに話たって事はどうにかしたいんやろ」

「どうにかしたい。けど、方法が未だにわからない」


俺らが兎や角言う筋合いもないし、かと言って本人に直接言うのも違うんやろう。本人に言うた所でシラを切られたらそれまでの話や。

俺らが所謂YouTuber的な存在やったら物申す系の配信者にリークすればええけど。でも、それしたらAちゃんに飛び火するやろう。

頭のいい筈のキヨくんが解決策に悩んでる。悩んでる中で出た言葉は、助けて、の四文字。


「もうAの事好きなんだろとか言われてもいいから、どうしたらいいかわかんねぇけど一緒に助けてやってくんね？」


お酒も入ってるからかな、キヨくんの声が震えてる様に感じる。俺もうっしーもガッチさんも次の言葉が中々出てこやんかったけど、年の功と言うか何と言うか、ガッチさんの一言で我に返れた。


「言われなくてもそのつもりだったけど？大事な娘を傷付ける男なんてお父さん認めない！」

「そうだなぁ。俺の妹に何て事してくれちゃってんの」

「今度は俺らでAちゃんの事助ける番までキヨくん」

「……ありがとう」


取り敢えずもう一杯なんか頼もか。

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