・ ページ8
私達は応接間に通された。
応接間の扉が開くとそこにはこの国の王様とその隣に私より少し年上くらいの美しい容姿をした男の子が立っていた。
初めてあったこの男の子と私は、これから夫婦になる。
私とお父様は直ぐに立ち上がり2人の元へ近づく。
｢久しいのう｣
｢元気であったか？｣
｢あぁ、もちろん｣
2人の王は固い握手を交わした。
｢国王様、ご機嫌よう｣
｢おぉ、A姫よくぞ来てくれた、これからは家族となるのだ、余り気を使わず楽にしてくれ｣
｢お気遣い頂きありがとうございます｣
国王様はそういってワッハッハと大きく笑った。
｢A、王子にもご挨拶を｣
お父様に促され目の前にいる男の子に目線をやると男の子はこちらを無表情でじーっと見ていた。
はじめましてで何も言わずにただ見ているだけなんて失礼な人ね、せめて笑えば良いのに。
｢王子様、ご機嫌よう｣
そう言って私はドレスのスカートを軽く持ち上げ頭を下げる。
そして挨拶を終え頭を上げると王子様はまだ何も言わずこちらをじーっと見ていた。
なんなの、この人は…
｢髪｣
｢髪？｣
すると王子様の手がスっと私の頭に伸びる
｢さくら、の花びらですね｣
｢さくら？｣
｢はい、遠い異国の地より持ち帰ったとされる美しいピンクの花を咲かせる木です｣
｢城の外にあったでしょう？｣
確かに城の外に見たこともない木があって風にのって花びらが散ってゆく姿が儚くて切ないながらも美しさがあって気になっていた。
｢さくら、と言うのですね｣
｢はい｣
｢とても美しいです｣
それを聞いて、王子様は微笑んだ。
｢王子様はそういった表情もされるのですね｣
｢はい？｣
｢いえ、入ってきた時は無表情だったものですからどんなお方なのかと思いまして ｣
それを聞いて不思議そうにしている王子様がおかしくて私は少しだけ笑った。
｢A、失礼だぞ｣
お父様に小声で注意される。
｢王子、大変失礼した｣
｢いえ、大丈夫ですよ｣
｢A姫はさくらの花のように可憐に笑う方なのですね｣
そう言って王子様は目尻をキュッと下げた目で私を優しく見つめる。
穏やかに笑う、そんな表情を見て何故か、胸がぎゅっと締め付けられるような感覚になった。
それが、ヘンドリーと私の出会いだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 154人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
揺蕩(プロフ) - ao_314さん» コメントありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです☺︎かなり🐢更新ですが最後まで頑張りますので引き続きお楽しみ頂けますと幸いです\( ˆoˆ )/ (1月2日 14時) (
レス) id: 09fdb0806d (このIDを非表示/違反報告)
ao_314(プロフ) - ヘンドリーの作品があまりないのでめちゃめちゃ嬉しいです！ありがとうございます‼︎もう、最初から泣きそうでした😭 (12月25日 2時) (レス) id: 646af75665 (このIDを非表示/違反報告)
揚羽(プロフ) - 揺蕩さん» うわぁ、ありがとうございます…！面白いと言って頂けて良かったです。distinyのこれからのお話も楽しみにしてます☻ (12月2日 9時) (レス) id: dc7b6890ce (このIDを非表示/違反報告)
揺蕩(プロフ) - 揚羽さん» メンバー内で鎖国してます。を拝見した事があります！お話のまとめ方というか進行の仕方がとても面白くて好きです( ˆ ˆ )続きも気になってます〜！ (11月29日 9時) (レス) id: 09fdb0806d (このIDを非表示/違反報告)
揚羽(プロフ) - 揺蕩さん» あんな拙い作品を読んでくださっていたとは…！ちなみに差し支えなければ、どの作品を…？ (11月27日 19時) (レス) id: dc7b6890ce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：揺蕩 | 作成日時：2023年11月20日 13時
