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｢はぁ…今日も疲れた｣
会社からの帰り道。
結局今日も残業して、気づけば時間は深夜に近い。
憧れや淡い期待をもってやってきた韓国、
胸を踊らせこの街に引っ越してきたけど
いま、私の目に映るこの街は、彩りを失った灰色の世界のようだ。
心が疲れ切るとそうなってしまうのか…そんな事を考えながら、ただ足を動かす。
家に向かって歩いている途中、灰色になってしまった世界に1つ、私の好きな温かい色が溶け込むように視界に入った。
｢桜だ｣
目の前に広がるのは沢山の桜の木。
気づけば春になり、気温も暖かくなってきた韓国では桜が見頃を迎えていた。
そんな事にも気づかずに毎日通勤していたけど、何故か今日は桜が目にとまって私は思わず近くのベンチに座ってそれを眺めた。
桜を眺めていると、いつだったかの記憶が思い出されるようだ。
イヤホンを付けて、WayVの曲を聴きながら目を閉じる。
思い浮かぶのは恋しくてたまらないあの笑顔。
ヘンドリーに会いたい…
その時、誰かが私の隣に座った。
目を閉じているから分からないけど、ベンチで急に他人の隣に座るなんて…
怖いと思ったけれど、その時の私は声をあげるでも走って逃げ出すでも無く、ゆっくりと目を開けた。
桜の木を眺めるように顔を上に向けていたのをゆっくりと下に落とし自分の足元を見た。
ズボンや靴からして隣に座っているのは男性だ。
そのままそっとイヤホンを外す。
｢さくら、見てたんですか？｣
隣に座る男性は私にそう問いかけた。
｢はい｣
｢そうですか。
さくら綺麗ですよね、見ているだけで幸せな気持ちになります｣
男性はそれだけ話して、その後は私がどうするのか待っているかのように何も言わずにベンチに座り続けている。
少しして、私はゆっくりと男性の方に顔を向ける。
神様は意地悪だ。
なんで私に前世の記憶を思い出させるようにしたのか、
それが無かったらどれだけ楽だったか、知らなければこんなに苦しまずとも済んだのに。
そんな事を何度思ったか…
沢山悩んで、沢山泣いて、
もう限界だという時にその瞬間はやってくる。
灰色になってしまった世界が
大好きな色と共に彩りを取り戻す。
聞き覚えのある声、柔らかい雰囲気、恋しかった笑顔
｢ヘンドリー｣
いま、最愛の人は目の前にいる。
続く (更新停止中)
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揺蕩(プロフ) - ao_314さん» コメントありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです☺︎かなり🐢更新ですが最後まで頑張りますので引き続きお楽しみ頂けますと幸いです\( ˆoˆ )/ (1月2日 14時) (
レス) id: 09fdb0806d (このIDを非表示/違反報告)
ao_314(プロフ) - ヘンドリーの作品があまりないのでめちゃめちゃ嬉しいです！ありがとうございます‼︎もう、最初から泣きそうでした😭 (12月25日 2時) (レス) id: 646af75665 (このIDを非表示/違反報告)
揚羽(プロフ) - 揺蕩さん» うわぁ、ありがとうございます…！面白いと言って頂けて良かったです。distinyのこれからのお話も楽しみにしてます☻ (12月2日 9時) (レス) id: dc7b6890ce (このIDを非表示/違反報告)
揺蕩(プロフ) - 揚羽さん» メンバー内で鎖国してます。を拝見した事があります！お話のまとめ方というか進行の仕方がとても面白くて好きです( ˆ ˆ )続きも気になってます〜！ (11月29日 9時) (レス) id: 09fdb0806d (このIDを非表示/違反報告)
揚羽(プロフ) - 揺蕩さん» あんな拙い作品を読んでくださっていたとは…！ちなみに差し支えなければ、どの作品を…？ (11月27日 19時) (レス) id: dc7b6890ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：揺蕩 | 作成日時：2023年11月20日 13時
