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｢先程、庭もご覧になっていると仰っていましたよね？｣
｢はい、そうですね｣
｢このカモミールはそこの庭で咲いているものなんですよ｣
私の部屋から見える範囲ではカモミールは確認が出来ないけれど、確かにお庭はとても広いようだしもっと色々な種類のお花が咲いていてもおかしくない。
｢あの庭は歩いているだけでも楽しいんです｣
そうやってお庭の話しをしてくれるヘンドリー王子はきっと、部屋に篭もりきりの私を心配して遠回しに私が外に出れるように促しているんだろうけれど決して強要はしなかった。
｢今度、行ってみます｣
｢本当ですか！さくらも良いですが、庭も素敵なのでご気分良い時に是非足を運んでみてください｣
反応を見るに、余程心配してくださっていたようだ。
お忙しいと聞いたけれどそんな中で私にまで気を使わせてしまって申し訳ない。
｢でも、なぜカモミールなのですか？｣
｢お好きだと聞いたものですから｣
確かに私は祖国にいた頃、自分の住んでいたお城にある庭に咲くカモミールを見るのが好きだった。庭師がお花を摘んでくれてそれを乾燥させてカモミールティーにして飲むのも好きだった。
そんな情報を知っているのは今この城にいる中では1人だけだろうと同じ部屋にいるその人に視線を送るけど、聞こえているだろうに表情一切変えずに違う方を見ているから視線を送るのをやめた。
でもお陰様でヘンドリー王子が私の為にこうしてカモミールの花束を用意してくださったのだからウィンウィンには感謝しないとね。
｢カモミールティーもお好きだと伺いましたので、庭師に花をある程度摘んで貰えるよう頼んでおきました｣
｢わざわざありがとうございます｣
｢今度お庭に行かれる時は庭師も居るかと思いますので、声をかけてやってください｣
｢分かりました｣
そこまで話すとヘンドリー王子は安心したような表情をして公務に戻ると部屋を出ていった。
色々と考えて下さったのだなと嬉しさを感じると共に、折角ならヘンドリー王子も一緒にお庭を見て回ってくだされば良いのにと思った。
それでも王子はお忙しくて、無理に誘うのも不躾なお願いになってしまうから大人しく1人で回ろうと思う。
ヘンドリー王子が部屋を出た後、私は早く波打つ鼓動を落ち着かせようとそっと胸に手を置いて、もう片方空いた腕でカモミールの花束を大切に、優しく抱きしめた。
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揺蕩(プロフ) - ao_314さん» コメントありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです☺︎かなり🐢更新ですが最後まで頑張りますので引き続きお楽しみ頂けますと幸いです\( ˆoˆ )/ (1月2日 14時) (
レス) id: 09fdb0806d (このIDを非表示/違反報告)
ao_314(プロフ) - ヘンドリーの作品があまりないのでめちゃめちゃ嬉しいです！ありがとうございます‼︎もう、最初から泣きそうでした😭 (12月25日 2時) (レス) id: 646af75665 (このIDを非表示/違反報告)
揚羽(プロフ) - 揺蕩さん» うわぁ、ありがとうございます…！面白いと言って頂けて良かったです。distinyのこれからのお話も楽しみにしてます☻ (12月2日 9時) (レス) id: dc7b6890ce (このIDを非表示/違反報告)
揺蕩(プロフ) - 揚羽さん» メンバー内で鎖国してます。を拝見した事があります！お話のまとめ方というか進行の仕方がとても面白くて好きです( ˆ ˆ )続きも気になってます〜！ (11月29日 9時) (レス) id: 09fdb0806d (このIDを非表示/違反報告)
揚羽(プロフ) - 揺蕩さん» あんな拙い作品を読んでくださっていたとは…！ちなみに差し支えなければ、どの作品を…？ (11月27日 19時) (レス) id: dc7b6890ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：揺蕩 | 作成日時：2023年11月20日 13時
