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｢A姫はいらっしゃいますか？｣
ヘンドリー王子の声だ。
｢はい、おります｣
｢入ってもよろしいでしょうか？｣
｢どうぞ｣
ウィンウィンが扉を開けるとそこにはどこか緊張した様子のヘンドリー王子が立っていて、中に入るよう促すと笑顔で私のところにやってきた。
最初、緊張しているように見えたのが可愛らしかったのと、ヘンドリー王子のお顔を見れたことで何故か安心した私は少しだけ笑ってしまってそんな私を見てヘンドリー王子は不思議そうな顔をしている。
｢どうされましたか？｣
｢いえ、なんでもありません。失礼いたしました｣
私は表情を整えて、改めてヘンドリー王子に挨拶をした。
｢気分はいかがですか？｣
｢そうですね…素直に良いとは言えないです｣
｢そうですか｣
なぜ、この人はまだよく知りもしない私にこんな優しい表情を向ける事が出来るのだろうか。
部屋に篭もりきりだったことについて何か言われるかと思っていた私の予想は外れて、目の前にいるヘンドリー王子は眉尻を少しだけ下げて優しい眼差しで真っ直ぐ私の目を見つめる。
｢何をされていたのですか？｣
｢今はそこに腰掛けてお庭とさくらの木を眺めておりました｣
｢さくらを随分気に入ってくださったのですね｣
｢はい、でもこんなに早く散ってしまうなんて寂しいですね｣
窓の外に目線をやると、また風が吹くのと共にさくらの花びらは散ってしまいひらひらと地面に落ちていってしまう。
｢姫にお渡ししたいものがあります｣
そう言うとヘンドリー王子は部屋を一度出て、戻ってきたと思ったら手を後ろに回して何かを隠していて、私の目の前まで来ると隠していたものを前に出した。
｢カモミール？｣
｢はい｣
ヘンドリー王子が持っているのは黄色い花芯に白い花びらがついた可愛らしいお花、カモミールが花束になっているものだ。
茎の部分は白いオーガンジーのリボンでまとめられている。
｢これを私に？｣
｢はい、そうです｣
差し出された花束を受け取ると爽やかで少し甘さの感じられる香りが私の鼻をくすぐる。
｢ありがとうございます、嬉しいです｣
｢良かった｣
ヘンドリー王子は口角をグッと上げて微笑んで、私はそんな彼を見て自分の鼓動が早くなるのを感じた。
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揺蕩(プロフ) - ao_314さん» コメントありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです☺︎かなり🐢更新ですが最後まで頑張りますので引き続きお楽しみ頂けますと幸いです\( ˆoˆ )/ (1月2日 14時) (
レス) id: 09fdb0806d (このIDを非表示/違反報告)
ao_314(プロフ) - ヘンドリーの作品があまりないのでめちゃめちゃ嬉しいです！ありがとうございます‼︎もう、最初から泣きそうでした😭 (12月25日 2時) (レス) id: 646af75665 (このIDを非表示/違反報告)
揚羽(プロフ) - 揺蕩さん» うわぁ、ありがとうございます…！面白いと言って頂けて良かったです。distinyのこれからのお話も楽しみにしてます☻ (12月2日 9時) (レス) id: dc7b6890ce (このIDを非表示/違反報告)
揺蕩(プロフ) - 揚羽さん» メンバー内で鎖国してます。を拝見した事があります！お話のまとめ方というか進行の仕方がとても面白くて好きです( ˆ ˆ )続きも気になってます〜！ (11月29日 9時) (レス) id: 09fdb0806d (このIDを非表示/違反報告)
揚羽(プロフ) - 揺蕩さん» あんな拙い作品を読んでくださっていたとは…！ちなみに差し支えなければ、どの作品を…？ (11月27日 19時) (レス) id: dc7b6890ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：揺蕩 | 作成日時：2023年11月20日 13時
