・ ページ2
笑みを浮かべるヘンドリーの表情にもう悲しみは無い。
そしてヘンドリーは私と同じように、私の頬に手を伸ばし、その大きな掌で私の頬を撫でる。
まるでワレモノを扱うかの様に、小動物でも触るかの様に、
私の頬をこれでもかと優しく包んだ。
ヘンドリーの持つ熱が掌からしっかりと伝わり、それと同時に少しだけ震えているのも分かった。
私の手も震えている。
いや、身体が震えている。
もう私達の身体も限界だろう。
炎に包まれ、煙に包まれ、これだけ炎が回っていながらここまで会話が出来たこと自体奇跡の様なものだ。
ここで終わるのだ。
20年という短い人生だった。
良い家に生まれたという事以外、突出して私という人間に価値など無かったであろう。
ただ、私の人生において最愛の人、ヘンドリーに出会えたという事。
そしてヘンドリーが私を愛してくれたという事が価値を生み出してくれた。
本当は、ヘンドリーの表情に悲しみが含まれていた理由を私は知っていた。
それはヘンドリーが私に愛が無いと思っていたから。
｢ヘンドリー｣
｢はい｣
｢愛していますよ、私はずっと貴方を心から愛していました｣
堪えていた涙が頬を伝うのが分かった。
今にも意識が飛びそうになる中で必死にヘンドリーの目を見つめた。
そして同じようにヘンドリーも激しく咳き込んではいるものの目線を逸らすことはない。
｢……私の人生は…ｺﾞﾎｺﾞﾎｯ……貴方に出会えた事で……｣
私はそこまで話したものの、息をするのがやっとで続きを伝えられなくなってしまった。
そして前に倒れ込む私をヘンドリーが支えるようにして強く抱き締める。
意識が薄れゆく中、耳元でヘンドリーの声がする。
｢来世も………
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 154人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
揺蕩(プロフ) - ao_314さん» コメントありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです☺︎かなり🐢更新ですが最後まで頑張りますので引き続きお楽しみ頂けますと幸いです\( ˆoˆ )/ (1月2日 14時) (
レス) id: 09fdb0806d (このIDを非表示/違反報告)
ao_314(プロフ) - ヘンドリーの作品があまりないのでめちゃめちゃ嬉しいです！ありがとうございます‼︎もう、最初から泣きそうでした😭 (12月25日 2時) (レス) id: 646af75665 (このIDを非表示/違反報告)
揚羽(プロフ) - 揺蕩さん» うわぁ、ありがとうございます…！面白いと言って頂けて良かったです。distinyのこれからのお話も楽しみにしてます☻ (12月2日 9時) (レス) id: dc7b6890ce (このIDを非表示/違反報告)
揺蕩(プロフ) - 揚羽さん» メンバー内で鎖国してます。を拝見した事があります！お話のまとめ方というか進行の仕方がとても面白くて好きです( ˆ ˆ )続きも気になってます〜！ (11月29日 9時) (レス) id: 09fdb0806d (このIDを非表示/違反報告)
揚羽(プロフ) - 揺蕩さん» あんな拙い作品を読んでくださっていたとは…！ちなみに差し支えなければ、どの作品を…？ (11月27日 19時) (レス) id: dc7b6890ce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：揺蕩 | 作成日時：2023年11月20日 13時
