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ｶﾞﾀｶﾞﾀッ…
ﾄﾞｰﾝ
遠くから城の柱が焼け落ちて倒れたのであろう、大きな音がする。
ｺﾞｫｺﾞｫ
辺り一面広がる炎は今にも私達を包み込んでしまいそうな程勢いが増していた。
ただ、自分が置かれた状況に対して私は割と冷静であった。
目の前の方も同じだ。
今から私たちは終わりを迎えようとしているのに
人は意外と自分の死を悟ると冷静になるのかもしれない。
城は今にも崩れそう、炎もあと一歩のところまで来ている。
もう1分も、1秒ももたないかもしれない…
そんな中でも目の前にいるその方はいつものようにゆっくりと優しい口調で、そして少し低い声で私に話しかける。
｢幸せでしたか？｣
目の前の方はそう聞いて笑顔だけれどどこか悲しいような表情を浮かべている。
なぜ、そんなに悲しい表情をするのでしょうか？
それは今この現状に対してのお気持ちですか？
｢王よ、貴方に出会ってから私が幸せで無かった事などないですよ｣
目の前にいるのはこの国の王であり、私の夫で、私の愛するヘンドリーだ。
｢こんな時まで私を王と呼ぶのですか？｣
｢私はこの国の王の妃ですから｣
｢お妃様は随分ご立派になられたようで｣
そう言って王は笑っているけれど依然表情は悲しみを抱えている。
｢最後くらい名前でお呼びください｣
そう言ってこちらを真っ直ぐ見つめる瞳は涙の膜で覆われているようで、うるうるとしていた。
｢ヘンドリー｣
｢はい｣
｢それは最後のお願いですか？｣
｢そうですね｣
｢それでは私も最後のお願いがあります｣
そう言って私は今にも泣き出しそうなヘンドリーの頬を優しく撫でる。
｢最後くらい、表情に悲しみを含ませるのをお止め下さい｣
ヘンドリーはそれを聞くとビックリしたように少しだけ目を見開いた。
｢それで良いのですか？｣
｢良いです｣
｢貴方はいつだって笑顔でしたが、それと一緒にどこか悲しげな表情をしていました｣
｢最後くらい私の好きな、穏やかに笑みを浮かべるヘンドリーを見たいのです｣
それを聞いてビックリした表情から優しくて温かい笑顔を浮かべるヘンドリー。
そう、私が見たかったのはこの表情でしたよ。
ずっと…ずっと大好きだった、貴方の太陽の様に温かくて、優しさに溢れていて、見ているだけで心が満たされるようなそんな穏やかな笑顔が。
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揺蕩(プロフ) - ao_314さん» コメントありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです☺︎かなり🐢更新ですが最後まで頑張りますので引き続きお楽しみ頂けますと幸いです\( ˆoˆ )/ (1月2日 14時) (
レス) id: 09fdb0806d (このIDを非表示/違反報告)
ao_314(プロフ) - ヘンドリーの作品があまりないのでめちゃめちゃ嬉しいです！ありがとうございます‼︎もう、最初から泣きそうでした😭 (12月25日 2時) (レス) id: 646af75665 (このIDを非表示/違反報告)
揚羽(プロフ) - 揺蕩さん» うわぁ、ありがとうございます…！面白いと言って頂けて良かったです。distinyのこれからのお話も楽しみにしてます☻ (12月2日 9時) (レス) id: dc7b6890ce (このIDを非表示/違反報告)
揺蕩(プロフ) - 揚羽さん» メンバー内で鎖国してます。を拝見した事があります！お話のまとめ方というか進行の仕方がとても面白くて好きです( ˆ ˆ )続きも気になってます〜！ (11月29日 9時) (レス) id: 09fdb0806d (このIDを非表示/違反報告)
揚羽(プロフ) - 揺蕩さん» あんな拙い作品を読んでくださっていたとは…！ちなみに差し支えなければ、どの作品を…？ (11月27日 19時) (レス) id: dc7b6890ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：揺蕩 | 作成日時：2023年11月20日 13時
